地質調査概要説明だけでなくILC計画の概要についても説明がありました。参集した住民から多くの質問と意見が寄せられるなど、説明会に留まらない地元への情報伝達の場となり、大いにILC実現への機運醸成に寄与したと思います。
地質調査趣旨説明に来られた東北大学准教授の佐貫智行先生からILC計画に関して次ののようなコメントがありました。
「ILCが実現すれば、多くの人に認知されていない東北の美味しい食べ物や東北人の人情の厚さが、外国から来る科学者から間違いなく評価され、口コミで世界に発信されることになる。ILCによる研究の成果と東北の情報がセットで情報発信される素晴らしい好機。」
「研究者は環境に溶け込み、そこにごく自然に生活することを好む。お祭りも大好き。国際研究都市になるということは特別なことをすることではなく、ここにあるモノを磨いて欲しい。」
実はセルンで対応して頂いた永井先生からも、後日KEKの石川さんを通じて
「東北地方の特産品である研究者が好む乳製品などの一次産品をグレードアップさせてアピールしたらどうか。」
とのご意見を頂いていました。
これらの研究者のご提言は貴重なものであり、今後我々の行動する指針となります。
ILC誘致による波及効果は第二次産業の技術系、工業系の産業群誘致に目が行きがちですが、
岩手の得意分野である第一次産業も大いに波及する効果は大であり、今日の国際科学研究都市が自然との調和が必然のテーマだとするならば、岩手県はむしろ食と農にこだわった波及効果に専念する手もアリです。
今後、県庁内でも県土整備部や農林水産部とのさらなる連携も必要となります。
また、セルンで毎夏行われている学生や、物理を教える先生を対象としているサマーススクールに目敏い佐賀県(北上高地のライバル脊振山地)では早速このプログラムに参加をしているとのことで、本県も早速対処しなければなりません。
住民が行動としてできることはILCの正しい情報を知り(概要だけでもいいから)、その意義を多くの近隣の人たちへ伝えること。これに尽きると思います。
私もこれからもセルンに視察に行ったことを活かして情報提供してまいります。
13世紀にマルコポーロが東方見聞録で黄金の国ジパングを世界に発信しました。伝聞で書いた記事とはいえヨーロッパのアジア観を初めて伝えた見聞録とされています。
21世紀は東北からILC実験により宇宙の誕生の起源を世界に発信することが可能になるのです。
その実現のために出来うる可能なことはやり遂げなければなりません。



写真は国際都市ジュネーブ。
国際都市としての歴史にはかなわないけれど、それに勝るものを掘り起し創造して
東北地方がILC実現により21世紀モデルの国際科学研究都市の形成へ
これにてセルン視察報告終わり