2012年11月28日

ILCを北上高地へ〜今、行動すること

先週の23日(金)と26日(月)の二日間にわたり一関市内の3か所でILCにおける地質調査説明会が開催されました。

地質調査概要説明だけでなくILC計画の概要についても説明がありました。参集した住民から多くの質問と意見が寄せられるなど、説明会に留まらない地元への情報伝達の場となり、大いにILC実現への機運醸成に寄与したと思います。

地質調査趣旨説明に来られた東北大学准教授の佐貫智行先生からILC計画に関して次ののようなコメントがありました。
「ILCが実現すれば、多くの人に認知されていない東北の美味しい食べ物や東北人の人情の厚さが、外国から来る科学者から間違いなく評価され、口コミで世界に発信されることになる。ILCによる研究の成果と東北の情報がセットで情報発信される素晴らしい好機。」

「研究者は環境に溶け込み、そこにごく自然に生活することを好む。お祭りも大好き。国際研究都市になるということは特別なことをすることではなく、ここにあるモノを磨いて欲しい。」


実はセルンで対応して頂いた永井先生からも、後日KEKの石川さんを通じて

「東北地方の特産品である研究者が好む乳製品などの一次産品をグレードアップさせてアピールしたらどうか。」
とのご意見を頂いていました。

これらの研究者のご提言は貴重なものであり、今後我々の行動する指針となります。

ILC誘致による波及効果は第二次産業の技術系、工業系の産業群誘致に目が行きがちですが、

岩手の得意分野である第一次産業も大いに波及する効果は大であり、今日の国際科学研究都市が自然との調和が必然のテーマだとするならば、岩手県はむしろ食と農にこだわった波及効果に専念する手もアリです。

今後、県庁内でも県土整備部や農林水産部とのさらなる連携も必要となります。

また、セルンで毎夏行われている学生や、物理を教える先生を対象としているサマーススクールに目敏い佐賀県(北上高地のライバル脊振山地)では早速このプログラムに参加をしているとのことで、本県も早速対処しなければなりません。

住民が行動としてできることはILCの正しい情報を知り(概要だけでもいいから)、その意義を多くの近隣の人たちへ伝えること。これに尽きると思います。

私もこれからもセルンに視察に行ったことを活かして情報提供してまいります。

13世紀にマルコポーロが東方見聞録で黄金の国ジパングを世界に発信しました。伝聞で書いた記事とはいえヨーロッパのアジア観を初めて伝えた見聞録とされています。
21世紀は東北からILC実験により宇宙の誕生の起源を世界に発信することが可能になるのです。

その実現のために出来うる可能なことはやり遂げなければなりません。

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写真は国際都市ジュネーブ。
国際都市としての歴史にはかなわないけれど、それに勝るものを掘り起し創造して
東北地方がILC実現により21世紀モデルの国際科学研究都市の形成へ

これにてセルン視察報告終わり
posted by 飯沢ただし at 23:58| 岩手 ☀| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月20日

ILCを北上高地へ〜今、地元が備えること

来夏には国内の候補地(北上高地か脊振山地か)の絞り込みがされます。
それに呼応して候補地決定の科学的根拠となる地質調査を詳細に来年度、国の予算で行うことが決定しています。

すでに地質調査は県の単独予算で、岩手県と東北大学がすでに行い、実験サイトに地質が良好であることは明らかになっていますが、今回の調査は脊振山地も同じ条件で行うと聞いており、その調査の方法等については来る23日に大東町大原地区と興田地区、室根町の3か所で住民の説明会が開催し発表される予定です。

いよいよ大詰めの段階に差し掛かりました。

脊振山地の九州では九州大学が素粒子研究センターを設立し、産学官共同での動きも顕著になってきましたし、九州だけでなく山口県も巻き込んだ政治サイドからの働きかけも盛んになってきたようです。

日本国内の過度の無用な綱引きは、これまでILCの日本誘致に尽力されてこられた方々の本意とするところではなく、あくまで科学的な根拠に基づいた決定をされるべきであります。

しかし、決定するのはあくまで「人」ですから、判断材料をこちらも悔いのなきよう多角的にアピールできる材料を揃える努力を怠りなく進めていかねばなりません。

今回セルンを視察して認識を新たにしたことは、
背伸びをして我々の能力を越えたものを考える必要はないということ。

これまで紹介してきたようにセルンの周辺は豊かな自然に恵まれ、ブドウ畑あり、酪農地帯あり、従前より営まれた農業と農村が健在しています。

岩手県は農業県であり、食糧供給基地としての誇りを持続し、さらにILCに実現で付加価値を増す施策も視野に入れるべきです。豊富な食材は世界からきた科学者を絶対に満足させてくれるでしょうし、そのレピュテーションが価値を上げてくれます。

続く
posted by 飯沢ただし at 23:57| 岩手 ☔| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月17日

LHCとILC

LHCはヒッグス粒子、ダークマターなどの「新粒子の発見」が得意分野なのに対し、ILCは新粒子の性質をくわしく調べることによる「新しい法則の発見」が得意分野だといえます。LHCILCが研究の両輪となることで、新しい物理の扉が開くと期待されています。
(Newton 別冊 ヒッグス粒子 素粒子の世界 号から引用)


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今回、セルンを視察してLHCを核にこれからも続くセルン研究所の意義とILCの役割を実感することができました。確かにILCは次世代加速器ではあるが、LHCの上位にあるものではない。いわば研究の目的対象が異なるということ。

また、セルンでは50有余年の歴史の中で多くの加速器を有しておりLHCにおいても世界から出資された複数のプロジェクトが進行中です。セルンの歴史的な経緯を重く鑑みると、ILCを核とした国際科学研究所の規模はセルン規模の研究所がそのまま当てはまらない、あまり過大に考えてはいけない、のではないか。私個人の感覚的な印象ではセルンの50%規模の想定が適当ではないかと思われます。

多くの日本人研究者がセルンで活躍している姿を見て、素粒子物理学における我が国の位置を感じ取ることが出来、また誇らしく思いました。ILC計画は是非とも我が国で実現させたい、すべきであるとの思いを強くしました。

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セルン周辺を見て、自治体の役割も見えてきました。
セルン周辺の町は規模的にも私たちが住んでいる町と大差ありません。

今後、社会資本の整備等ハード的な課題解決は重要ですが、国際研究都市を創る下地を住民が織りなしていくこと(ソフト戦略)はもっと重要だということを痛感しました。
正しい住民への理解には地元自治体が住民と国際研究施設の間にしっかり入って情報の伝達等の役割を担うことも必要です。

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「我々はどこから来たのか?」この問いこそ究極の人類の研究課題です。
その課題を開く装置
LHCILC大型加速器の両輪が未知の科学の扉を開けることが出来るのです。
その大いなる課題解決を調べる実験装置ILCが北上高地、私たちの住んでいるところに来る可能性が高まってきています。
我々は、この千載一隅のチャンスを逃がすことなく、出来うることを最大限成すことが求められています。

次回が最終リポートとなります。
posted by 飯沢ただし at 23:47| 岩手 ☔| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月16日

現地在住の日本人研究者との懇談会

標題の懇談会をKEKの現地駐在員の石川さんに設定して頂きました。

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左から1番目 永井 康一(ながい こういち)氏
  所属機関での正式役職名:筑波大学大学院数理物質科学研究科非常勤研究員
   専攻・研究分野の正式名称:素粒子実験
   
左から2番目 織田 勧(おだ すすむ)氏
  所属機関での正式役職名:九州大学理学研究院物理学部門助教
   専攻・研究分野の正式名称:素粒子実験学

   
左から3番目 田窪 洋介(たくぼ ようすけ)氏
  所属機関での正式役職名:高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所助教
   専攻・研究分野の正式名称:加速器を用いた素粒子実験

右から2番目 東城 順治(とうじょう じゅんじ)氏
  所属機関での正式役職名:九州大学理学研究院物理学部門准教授
   専攻・研究分野の正式名称:素粒子実験

右から1番目 中浜 優(なかはま ゆう)さん 
  所属機関での正式役職名:CERNフェロー
   専攻・研究分野の正式名称:高エネルギー物理学


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セルンに滞在し研究活動を長い方は6年以上になる方もおられます。ご自身の経験を通じてセルンに滞在しての印象や課題、ILCが日本に誘致された場合に国際科学研究都市立地における必要な要件、課題などについてお話を頂きました。

ひらめき ジュネーブは多くの国際機関が集結しているように、国際都市として歴史ある特別な都市。セルンという国際科学研究所がジュネーブ近郊に50年以上前からあるのも自然。

ひらめき 交通に関してはアクセスも良く、不便はない。トラムが出来てさらに便利になった。

ひらめき 滞在許可、住居等外国で必要な諸手続きはセルン内にサポートする部門があり、ワンストップで用が足せるので大変ありがたい。(普通であれば大使館などの公的機関を行ったり来たりしなければならない。)

ひらめき 滞在するうえで、特に家族連れの研究者は病院・学校のサービスは必要不可欠。こちらは医師の質も高い。看護師も英語で対応する。

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位置情報 病院にかかると結構高い。セルンの職員だと10%負担で済むが、保険料で8万円から10万円かかる。救急で飛び込みだと5万円ほど。

位置情報 インターナショナルスクールも授業料は安くはない。子供が環境に慣れない事例も少なくない(日本人に限らず)。

位置情報 研究者の配偶者も働ける場所があるとさらに良い。

位置情報 世界にダイレクトで行けるハブ空港があればさらに良い。(ジュネーブ空港は国際空港ではあるが、直接、欧州以外の大都市には行けない。)

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iモード セルンでも一部住民の実験が生活に影響が起きないかとの不安があった時もあったが(実験でビッグバンが起きてこの世がなくなるのでは?)近隣行政への情報伝達は丁寧に行っているようだ。公表前に事前に自治体に新実験をする場合は自治体に説明。

iモード セルンで勤務したという実績は、特にIT関係者などキャリアアップにかなり有効のようである。

iモード セルンは加盟国が出資をしている国際機関であるので、プロジェクトを切らせない努力をして常にしている。それが自前で技術を保つという好循環につながっている。

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かわいい 国際科学研究都市は日本でも事例が少ないので、そもそもここでは普通にある道路標識の英語表記などのサインは十分に配慮する必要がある。番地表記についてもマス目番地で慣れている国際表記導入を考慮すべき。

かわいい 国際研究所としての「売り」の部分が、ILCだけではインパクトが弱い。大型加速器を中心に据えた精密機器製造や医療関係の産業群を呼び込むには国の研究機関などとの連携が必要ではないか。

かわいい 地元住民に必要なのは
英語を話す努力もさることながら、例えば外国の研究者が英語で尋ねてきたときに嫌な顔をしない。コミニュケーションを恐れない。

かわいい 自分たちの町がすばらしい街になるのだという住民の誇りが、すべてをいい方向に導くのでないか。


沢山のすばらしいご意見を頂戴しました。研究者のみなさんには貴重な時間を割いて参加をして頂きあらためて感謝申し上げます。最初は九大関係者の方もいらっしゃり、是非ILCは東北にと強く出れませんたが、忌憚のないご意見はグランドデザインの広報の裏付けとして有効に使わせていただきます。  
posted by 飯沢ただし at 23:55| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月13日

セルン周辺の環境はいかに?その2

次なるセルンの近隣自治体はフランス側の2つの町。

この2つの町はセルンに近いだけあって、セルンの宿泊施設でまかない切れない時は、優先的な受け入れ先となる等、セルンと密接な関係にあります。

まず St.Genis(サンジェニ) セルンからすぐ近くのフランスの町です。
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とても落ち着いた、いかにもフランスの田舎の農村といった感じ。日本人の研究者も多く滞在しています。町の中心部ですがとてもこじんまり。大東町の猿沢地区くらいの感じ。
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町の市役所のインフォメーションではセルンのパンフレットも置いてあり、セルンとの関わりを意識しているようでした。
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道路も特別広くもありません。日本の県道と同じ片側1車線。
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街の郊外にALICEというLHCの実験プロジェクトがあります。ここの地下100メートルに巨大な検出装置があるのです。
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中に入れば、壁画を見てあぁそうなのかと納得しますが、施設の敷地規模は、こちらでいう誘致企業並みの敷地面積。入口はとても地味です。
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そして、そのまま体を回れ右をすると周辺はすぐに住宅地。ALICEが特別な施設でないことが伺えます。
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次はセルンから見て北東部にある Ferney-Voltaire(フェルネイ ヴォルテール)
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サンジェニと比して町の機能がほぼ備わっており、フランスのスーパーのチェーン店や中華料理店もありました。規模は大東町の大原地区のような感じでしょうか。
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フランスの有名な18世紀の啓蒙思想家ヴォルテールが滞在したことのある町にちなんでヴォルテールという名が付いています。町の中心部にヴォルテールの像があります。
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清潔で魅力的な町で、役所も歴史ある庁舎を外装の半分と内装を改造してありました。
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古い町並みだけでなく郊外には新しい住宅地も広がっています。住むのには環境がとても良さそうです。日本人のセルン関係者も沢山滞在しています。
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こんな小さな町ですが、さすがに国境地帯の所以でしょうか、インターナショナルスクールがありました。
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このフランスの2つの町を訪問して感じたことはセルンを特段意識した、背伸びをした環境整備を行っていないこと。

周辺には農耕地あり、歴史ある町並あり、住宅あり。どこの町とも変わりない昔からの生活の営みが感じられます。私自身、来る前は自治体の環境整備はどうか・・・と意気込んでいましたが、ある意味ほっと安心感を得られました。
posted by 飯沢ただし at 23:54| 岩手 ☔| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月12日

セルン周辺の環境はいかに?その1

今回の視察の第二の目的はセルン周辺自治体の様子を自分の目で確かめること。

国際科学研究都市の形成に不可欠なのは地元自治体の協力体制、環境整備です。
実際にセルン周辺の3つの自治体を調査し、その実態を肌で感じ地元自治体で何が必要かを探りました。

一回目はスイスのMEYRIN(メイラン)地区。
畑の中にポッカリと新興住宅街が形成された自治体です。
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メイラン地区はスイス側でセルンに最も近くに隣接しており、近代的な雰囲気を感じさせる街。
日本で言うと雇用促進住宅が沢山あるような感じでしょうか。

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住宅街にあるゴミ捨て場。

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バス停留所。ゾーン毎に料金が設定されています。

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市役所近くの市中心部にあるショッピングモール。図書館や劇場ホールも近くにあります。

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市民の厚生施設であるスポーツセンターも充実しています。

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国際研究所の存在を支えるという観点では、公的に必要な施設は備えている自治体です。
国際都市ジュネーブのベッドタウン的な立地条件でもあり、セルンとジュネーブの中間に位置していることは両方のニーズに対応している印象でした。

ILC周辺においても、このような集合住宅を集中させ、新住民に必要な公的サービスを効率的に提供できるコンパクトな街を整備することは、広大なエリアの中での一角は必要でありましょう。しかし、研究者の住宅環境に対するニーズは多様であるので人工的な街の形成がすべてではないということも考慮すべきです。
posted by 飯沢ただし at 23:22| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月11日

ATLAS実験装置

4つの大型プロジェクトのうちATLAS実験装置はLHC最大の実験装置です。
複数の検出器を備えており、衝突した素粒子の反応を詳しく調べます。

日本はこの実験装置の開発に大きく貢献しており、また、KEKや東大など15の研究機関から多くの日本人研究者が参加しています。ATLASはCERNの敷地内にあり、コントロールセンターの外壁にはATLASの立派な壁画が描かれていました。

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37ヶ国から約2、900人の研究者(うち学生が1、000人)が参加をしています。(2009年現在)

陽子どうしの衝突は1秒間に1億回起こり、反応が好ましいものを1、000個まで瞬時に選別します。
反応が普通でないものを検出することが、未知の粒子の発見に結びつきます。
「不美人コンテストをやっているようなもの」と近藤先生。

その大きな成果が
2012年7月4日、ATLASとCMSの両装置でヒッグス粒子とみられる粒子を観測したとされるものです。
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それにしても、ミューオントリガー検出器や超伝導ソレノイドなど日本による建設担当部分がいかに精巧で技術的に優れているのかを痛感させられました。

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CERNで行われているLHCに関わる超巨大スケールの国際協働プロジェクトが、次世代加速器ILC計画に発展していくのです。
posted by 飯沢ただし at 23:42| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月10日

加速器の主要素:超伝導電磁石

LHCの主要素、超伝導磁石の説明をSM18という視察スポットで近藤名誉教授から受けました。

SM18は本来はメンテ用の工房施設ですが、そのエリアの一部を視察者用に開放しています。

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このような超伝導電磁石をLHCでは円形に1232台をつなげています。

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超伝導電磁石の中の様子。1234台のユニットは1台づつ手作業で溶接と組み立てが行われます。

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超伝導は画期的な発見で、
金属を冷やしていくと(−260℃)抵抗が突然ゼロになる。⇒ 大電流を流すことができる。⇒ 強い磁場を作ることができる。⇒ 高いエネルギーの加速器
(近藤教授のレジュメより)

超伝導の技術をフル活用して最新鋭の加速器が、今ここに存在するわけです。

近藤先生の右手と私の左手が触っている部分がビームパイプで、パイプの中を陽子ビームが一方は時計まわり、もう一方は反時計まわりに周回します。強力な電磁石によって進行方向を曲げ、何度も陽子を周回させます。

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LHCの建設には日本の企業も大きく貢献をしていて

古河電気工業が超伝導ケーブル
新日本製鉄が双極電磁石の特殊ステンレス材
東芝が収束用超伝導四極電磁石 など
大企業だけでなく、
カネカという企業も電磁石用ポリイミド絶縁テープで高い技術力を評価されています。

日本の会社は技術力もさることながら@納期を必ず守る。A仕切り価格を後で吊り上げることをしない。(日本以外の会社はそうではないということ?)
日本企業群の高邁な企業理念も評価されてるとのことでした。

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1995年に与謝野馨代議士が文部大臣時代にCERN理事会に出席して、非加盟国でありながらLHCの建設を表明したことで日本企業の参入が許されたと伺いました。

与謝野氏の決断と行動はILC計画にも継続して活かされています。
posted by 飯沢ただし at 00:40| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月09日

CERNコントロールセンター

セルン研究所は50年以上の歴史を誇る研究所ですが、1959年にはすでに28Gev(ギガ電子ボルト)の陽子シンクトロンという加速器を完成しています。
1976年には450GeVの大型陽子加速器(SPS)を完成させ、より精度と品質の高い研究を求めてLHC(大型ハドロンコアイダー)の建設にまでに至ります。
LHCは2010年に3.5+3.5=7TeV(テラ電子ボルト=7兆電子ボルト)の陽子・陽子の衝突実験を開始するに至るまでに性能を上げてきました。
これまで建設された多くの加速器は現在も使用されており、LHCへの入射ビーム(陽子や鉛核イオン)をつくっています。

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LHCは環状の加速器で地下100メートルに掘られた、1周27キロメートルのトンネルの中に設置されています。そして、現在LHCにおいては複数の実験プロジェクトが動いており、
1)ATLAS
2)CMS
3)LHCb
4)ALICE
の4つが大きな実験施設(測定器)になります。

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LHCをはじめCERNの加速器の稼働をコントロール(管理)しているのがCERNコントロールセンター。
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このコントロールセンターは平屋1階にあり、窓から外の景色を楽しむことが出来ます。
ここを見た瞬間に六ヶ所村の再処理施設のコントロールセンターを思い出しましたが、六ヶ所村はいかにもいかにもの密室の部屋ですが、CERNの開放的な雰囲気に驚きを禁じえませんでした。

LHCの運転状況はコンピューター画面で共有され、ネットでどこでも確認することができます。
下の画面の状況は順調に衝突の実験がなされていることを示しています。

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時間経過とともにビームの数が減ってくると、衝突効率が悪くなるのでいったん入射を止めて、ビームを入れ直します。
24時間体制でビームの入射を繰り返します。入射するエネルギーを高めれば陽子と陽子の衝突の衝撃度も高まるのですが、LHCが本来放てるエネルギーは14TeV(14兆電子ボルト)あるのですが、現在は8TeVに留保しているとのこと。また、こちらの冬は寒く電力不足になるので質力を落とすそうです。

ちなみに、ILCでは1TeV(1兆電子ボルト)で済むそうです。

ILCでは陽子ではなく電子を使用するため(陽子は重い)、LHCほどエネルギーが低くても十分なのだそうです。
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ちょっと気になったのはロッカーの上にある、シャンパンのボトルの数。
24時間体制なのでお疲れになったら、ちょっと一杯。ではなくて
ビームの周回に成功したとか、プロジェクトの実験に成功した場合に研究者で祝った時の空ビンだそうです。

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LHCは2013年から2014年にかけて14TeVを達成するために加速器をメンテナンスする予定になっています。
posted by 飯沢ただし at 21:06| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月06日

セルンからILCの立地条件を想像する

セルン研究所は何かしら特別な研究所のようにイメージしがちですが
一口で言い表すとすると「大学のキャンパス」
それも田舎にドーンと建設されたという感じ。セルンにおける研究内容が厚みを増す毎に、徐々に面積が拡張されたといった印象で、敷地内の緑地帯が少なく感じるのはそのせいだと思われます。



外部からセルンを見る。はるかに見えるビルはセルンの事務管理棟。周辺は見事なブドウ畑や放牧地帯
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収穫の終わったブドウ畑。ワインを試飲できるワイナリーも周辺に多数点在。
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のどかな牧畜田園風景がセルンのすぐ傍にある。
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研究所の内部は大学キャンパスにあるような研究棟が連立。
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内部は大学の研究室のよう
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昔に活躍して役目を終えた研究観測装置もオブジェとして屋外に展示されています。
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外部からの研究者やビジターのためのホテルも施設内にある。
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カフェテリアも大学のようなイメージ
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3ヶ所あるカフェテリアのうち夜も営業しているのは1か所。昼時間は込み合います。
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柿(Kaki)もありました。スペインからの輸入品。
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セルンを利用している人にワンストップで便宜(住宅・健康・学校)を図る機能も充実。
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女性の研究者も安心して働ける子供を預ける機能も備える。
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トラム一本で街とつながる。ジュネーブ市街地まで30分程度。個人車利用の方が多く、駐車場は不足気味。
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東北加速器協議会が示したグランドデザインをセルンと重ね合わせると
セルンのメインキャンパスに相当する部分をILCでは100ha(セルンは80ha)を見込んでいます。
また、素粒子の衝突地点周辺のサテライトキャンパスに8ha程度。

衝突地点は北上高地の場合、JR一ノ関駅から約35kmにあることから、8haの場所は自ずから決まりますが(大東町興田地区のと大原地区の中間点あたりが予想される)、問題はメインキャンパスを平地でとなると交通のアクセス(飛行場・道路・鉄路)を総合的に考えなければなりません。将来を見越した大胆な科学研究エリアを創造したいものです。

セルンの外的環境から見ても研究者のための住宅環境についてはあまり気にしなくて良いとの判断をしました。逆に地域の特性をさらに活かす方法(農畜産物の開発や自然環境の整備)を考えることの方が重要と感じました。
posted by 飯沢ただし at 10:20| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月05日

CERN(セルン)の概要

CERN(セルン)のメインキャンパスは面積約80ha,東京ドーム17個分。
スイスとフランスの国境を跨いだ位置にあり
スイスのジュネーブ中心街から10km,ジュネーブ国際空港から5kmの位置にあります。

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研究所のエントランス(玄関口)にはCERN加盟国の国旗が掲揚されており、2011年で20ヶ国が運営資金を分担しています。年間予算は約1、000億円。(日本は加盟国にはなっていませんが、LHCの建設費協力を非加盟国の中では初めて表明し、その後も138億円の建設資金協力を行っています。)

今やヒッグス粒子の発見で有名になったCERN研究所ですが、歴史は50年以上もあり、1954年に欧州12カ国の国際的研究機関として設立されました。

CERNという名称は前身組織をフランス語名の略称を継続したもので、現英語名称では
European Organization for Nuclear Research
素粒子の基本法則や現象を加速器を用いて研究する研究所です。

そもそも第二次世界大戦後、欧州は戦場となり荒廃して有能な科学者が米国へ流出したことから、それを防ぐために欧州が協力して研究所の設立に至りました。

現在CERNの職員は 約2、500人
ユーザー(利用者)は世界71ヶ国から 約10、000人 に及びます。

CERN研究所の本来の研究目的ではなかったのですが、研究の大量の情報を送信する手段として、画期的ハイパーテキストシステム WWW(World Wide Web)が1990年にCERNで発明されました。

CERNでは15年という月日をかけてLHC加速器を建設し、現在運転中です。

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これらの内容をKEK(高エネルギー加速器研究機構)の近藤名誉教授とCERN外交部のVoss博士から直々に講義を受けました。(高度な物理学のお話も拝聴しましたが、ここでは割愛させて頂きます。例えば4つの力(相互作用) 強い力>電磁気力>弱い力>>>重力 等々)

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また、CERNではサマーストゥーデントプログラム(夏の学校)を実施していて、参加学生は6月から9月の間に参加学生はCERNに滞在して、CERNの特定の研究グループに所属して指導を受けながら、研究の補助をするほか、講義の受講やディスカッション等を通じ高エネルギー物理、粒子加速器、宇宙物理、データ処理に触れることができます。
posted by 飯沢ただし at 23:58| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月03日

Mission 「ILC計画を肌で実感せよ!」

9月定例会が終了後、世界で有数の加速器を保有している国際研究所「CERN」を視察するため
10月26日〜11月1日まで単身渡欧してまいりました。

視察の目的はズバリ 
「ILC計画の北上高地実現をみすえて地域が何をすべきか」を肌で感じること。

今日からシリーズでCERN(セルン)研究所の様子や周辺自治体の環境をレポートしていきます。

ちょうどILC誘致を見据えた先端加速器科学・産業フォーラム10月24日に東京大で開かれ、「ヒッグス粒子」とみられる新粒子を発見したCERNのロルフ・ホイヤー所長が講演があったばかりで、地元紙でも大きく報道されたばかりでした。


入口を飾るグローブと呼ばれる科学展示場、万博で使用したものを譲り受けたそうです。
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コントロールセンター前で、ご教示を頂いたKEK近藤名誉教授と一緒に 
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事務管理棟の中の様子 吹き抜けのオープンスペースと壁絵
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KEKの近藤名誉教授をはじめ、お忙しい中、ご対応いただいた日本人の研究者の方々、すべての方々に感謝の念を述べつつレポートを書かせて頂きます。
posted by 飯沢ただし at 01:09| 岩手 ☔| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月15日

ILC講演会in一関市大東町 Vol.2

(社)国際政治経済調査会(PSG)の主催による国際リニアコライダー講演会が一関市大東町の室蓬ホールで開催されました。当地で開催されるのは、一昨年の6月に吉岡先生から講演を頂いて以来の2回目になります。

今回の講師は東京大学准教授の山下 了(さとる)先生

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山下先生はジュネーブ近郊のCERNに6年間滞在研究したご経験もあり、またグランドデザインの策定メンバーでもあることからILCに関して最新の情報を知りえる先生であります。

私は故椎名素夫先生からのご縁でPSGの参与を拝命していることからコーディネーター役を務めさせて頂きました。

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本日のホットな情報は、実験サイト候補地に関して

ひらめきアメリカは過去に約束を反故にしてきた実績があり、学者間で信用がない

ひらめき欧州はハドロンコライダーを回す費用を捻出するのにも四苦八苦している状況で、ユーロ通貨危機という爆弾を抱えている状況からほとんど無理

ひらめき残る可能性があるのは日本のみ北上高地脊振山地


このことを明日の朝刊でどのようなニュアンスで書くのか楽しみ。

さて、今後の課題として先生との懇談の中で気が付いたことを2つ

位置情報社会インフラの整備ビジョンを明確に定めること

位置情報環境整備にあたっては民間の活力を最大限活用する方策を考えること

ILC誘致推進について民間レベルで何ができるか、もう少し掘り下げて研究をし、実行に移していきたいと思います。そういう意味で今日の講演会は、内容のあるすばらしい講演会でした。

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2012年08月28日

「科学する」こと

某地元紙の一般県民から寄せられる声の欄に、論壇という囲みの枠が設けられているが、
本日の朝刊は「ILC誘致で真の復興を」という記事が載せられた。

それは一般の県民からではなく、異例とも言える県行政の主席ILC推進監が寄稿したものであった。

なぜ行政の責任者がわざわざ寄稿に及んだには理由があった。
8月16日の同欄「禍根残すILC誘致」の内容に呼応する必要があったためだ。

寄港した元技術者の禍根を残すという主な指摘事項は
@ 地質調査の不足
A 地中に人口建造物を埋め込むことの負の影響
B ILC実験終了後の空間に核廃棄物の最終分場になる可能性

これらの指摘に丁寧かつ明確に推進役としての県の立場を述べ、最後に県民に対して理解を求める形で締めくくっていた。

肯定的に考えれば、ILCが県民に対して正しい情報の伝達と理解がまだまだ進んでいないということも言えるが、

私はBについては
北上高地ILCサイトに住む一人の住民として、まったくあり得ない話であると断定する。

なぜなら核廃棄物の最終処分場の決定には自治体との協定が必要であり、実際に地上に多くの住民の生活が営まれる地下に核廃棄物を埋めるなどということは想像さえ出来ないからである。


正しい理解の元に議論を交わすことに異議はないが、ILCトンネルの断面積からの技術的考察も抜きにして実際にあり得ない最終処分場の仮定の話等、ほとんどあり得ない投稿を掲載する意義はどこにあるのかとそちらの方の姿勢を私は疑いたくなる。

情報を伝える側にも科学して伝える責任がある。
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2012年08月25日

ILC計画推進講演会 in 奥州市

奥州市で誕生した民間組織「いわてILC加速器推進会議の主催による表題の講演会が企画され、出席してきました。

今日の講演会は2本立てで、以前に一度講演された野村総研の社会システムコンサルティング担当部長である北村倫夫氏による「ILCを核とした東北ビジョン」について と
前宮城県都市計画審議会会長である大村虔一(けんいち)氏による「北上高地 国際学術都市」

北村氏が考察する国際科学技術研究都市の形成条件として

1)オンリーワンの世界研究都市拠点
2)先端技術イノベーション
3)高度情報ネットワーク拠点
4)グローバルコミニティ
5)ユニバーサル生活環境    の5つの条件を示しながら

先日 県が示したグランドデザインのうち中核研究拠点ではどのような機能が求められるかを具体的に紹介し、同拠点には世界的な研究機関が少なくとも370は集積するであろうとの見解を示されました。

参考になるジューネーブ近郊の CERN 研究所に関して興味深い問題点の指摘があり、

・施設の老朽化
・未計画な拡張
・緑地空間の減少
・エネルギー効率の悪さ
・研究者のみの閉鎖的空間(科学のバチカンと称される)
・CERN のイメージ、レピュテーション形成の発信不足
・周辺自治体との都市計画、開発計画の連携不足
・産業への波及

これらの問題点は ILCによる国際科学研究都市形成への直接的課題になるとの認識を明らかにしました。

大村氏の講義では筑波学園都市形成の課題を取り上げながら、日本の場合、行政主導で研究都市の形成するに当たっては、弾力的に拡張、変更が可能な意思決定のあり方を指摘された上で

「地域の人たちと心豊かに暮らしができる空間を創造することが最も大事である」との考えは、正に我が意を得たりの感を得ました。

今回の勉強会は ILC誘致により地域がどう変わるか、地域民がどのように関わるかについて示唆を与えて頂き、大変参考になりました。

来る9月15日(土)にはJR大船渡線 摺沢駅隣接の「室蓬(しっぽう)ホール」にて 東京大学准教授
山下 了(さとる)先生をお招きして ILCの勉強会がありますので是非参加をお願い申し上げます。
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2012年07月04日

ヒッグス粒子を発見!



かねてから話題となっていたヒッグス粒子の存在が発見されたと発表された。
ジューネーブ近郊のセルン研究所にあるハドロンコライダーを使用して証明されたとしている。

ヒッグス粒子の発見によりハドロンコライダーより精度の高い次世代の大型加速器、国際リニアコライダー(ILC)の建設に大きな期待がかかることになる。

宇宙に存在している物質で人類が解明している物質は30%程度といわれており、ヒッグス粒子の発見は次なる未知の物質の解明へ大きなステップとなる。

ILCのサイト(施設立地場所)はあと2年以内には決定される見込みであり、有力な候補地である北上高地への誘致に向けた活動を今後さらに頑張らねばならないと気持が引きしまる記念すべき日となった。
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2012年01月29日

ILC 北上高地誘致へ

ILC(国際リニアコライダー)計画に関してNHK朝のニュースで全国放送されたこともあり、俄然周辺の地域の関心が高まってきた。

政府が昨年12月にサイト(建設候補地)に対する地質調査費に5億円余を3次補正で計上し、いよいよわが国への誘致活動に本腰が入ってきたことが大きな引き金になっている。

また今月の18日に、国際リニアコライダー(ILC)の国際共同設計チーム(GDE)責任者のバリー・バリッシュ氏(米国)らILC計画の研究者5人が、本県を訪れ、北上高地を視察し、自然環境も素晴らしく適地であることを言明したことも興味を引き付ける材料となっている。

バリッシュ氏が強調をしていた「地元の受け入れ態勢が(サイト決定の)大きな要素である。」と述べたことで、今後は民間レベルでの活動が求められる。

奥州市では早速呼応して経済団体を中心に研究会を立ち上げた。一関市でも水面下で動きがあり、誘致に向けた環境を整えていく方向性が見えてきた。


何より地元としては地域住民の正しい理解と共通認識が必要である。


先週末に上京し、関係者と会い新しい情報の収集に走ってきたが、同時に東日本大震災からの復興の象徴として東北を応援したいという気運が高まってきていることを感じ取ることができた。


この手ごたえを確信に繋げるためには今年一年が重要な一年になることは間違いない。
これまでも自分なりに普及に努めてきたが、自分の使命を十分に果たしていきたい。
posted by 飯沢ただし at 23:53| 岩手 ☀| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月30日

国がILC調査費を計上へ

今朝の新聞報道で今年度予算の3次補正案に国際リニアコライダー(ILC)計画の地質調査費が計上される見通しであることがわかった。

国に予算計上は初めてのことであり、誘致に向け国も本腰を入れることとなった。

ILC誘致に向けて大きなファーストステップとなる。

具体的にはKEK(高エネルギー加速器研究機構)への運営交付金に数億円を増額する形で予算補正される予定。

地質調査は本県独自で東北大学と共同で行ってきており、地下実験施設に良好であることは確認済みであるが、今度は国が再度調査する予定だという。


また、心配していた国会議員でつくっていたILC推進議員連盟の会長に与謝野馨前経済財政担当相が続投する見込みとなったことは本県誘致にとって朗報である。
震災後、与謝野会長は東北復興の象徴として本県誘致を明言しており、今後の展開に大いなる希望が持てる環境は整いつつある。


推進議員連盟総会の席で小柴昌俊(ノーベル物理学賞)がILC誘致に関して中国の存在に言及した事は今後、注意深く観察しておく必要がある。西側諸国に遅れをとっていた中国が近年国家プロジェクトとして科学技術の進展に力を注ぎ、人工衛星など宇宙開発にも進出し始めてきただけにILCの日本誘致に障害となる可能性を示唆したものだ。中国が政治指導体制が入れ替わる時期にもあたり、小柴氏の提言のとおりインドや東南アジア諸国とも連携して中国包囲網を敷く必要がありそうだ。

しかし、外交手腕が未知数な現政権下で果たしてそこまで対応出来うるかどうか個人的には不安な部分があるが、やってもらわねば困るということだ。

posted by 飯沢ただし at 22:49| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月31日

目指せ!国際的知的集積特区

本日、小柴先生門下生にあたる山下了先生による「ILC計画」について講演会があり、参加してまいりました。

実は山下先生のお話は私は3回目でしたが、回を重ねる毎に内容が濃くなると同時に解り易くなっていくような気がします。

与謝野大臣がILC誘致を東北地方復興の目玉としたいとの声明があって、夢の実現が現実味を帯びてきた状況になってきましたので、本日も水沢区のZホールには沢山の聴衆が集まりました。


講演前に山下先生を囲んで、現在の進行状況について説明を受けました。
誘致へ向けての流れはいい方向へと向かっているが、財源確保はまだ不安定な状態。日本で用意する財源をどこの省庁で確保したほうがいいかについては、文部科学省では予算配分が予め決まっているので、復興予算枠で特別に確保する方法が好ましいのでないか。復興庁か国家戦略室あたりが、受け皿となるのが妥当か。

つくば学園都市形成の課題(行政縦割りの研究所建設)を踏まえて、しっかりとした国際科学文化都市の形成のためのグランドデザインが必要なこと。それには被災地3県の協力が不可欠であり、特区制度を十分に活用した研究サイト別の機能的分担も考慮して進むべし。

オリンピック誘致と似たようなところがあって、何より現地の熱意と理解が必要である。


いままでの理解を整理するうえで、有効な勉強会になりました。

ご示唆をいただいた点を踏まえて、私なりに実験施設予定地の代表者として、課題解決に積極的に活動していきたいと思います。

posted by 飯沢ただし at 23:58| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月23日

科学する心

21日(日)一関市のホテルサンルートで財団法人平成基礎科学財団が主催する「楽しむ科学教室」が開催され、私も聴講してきました。

財団の理事長はノーベル物理学賞を受賞した「小柴昌俊」氏

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一関まで足を運んでいただき、会の冒頭にご挨拶がありました。

素粒子力学は世界の中でも湯川秀樹氏からはじまる日本の最も得意とする分野であり、数々の科学者がノーベル賞も受賞しています。

素粒子力学など基礎科学は、わが国がこれから力を入れていくべき分野であり、研究者の養成や環境の整備は大きな予算を伴うものでもありますから国民の理解が必要にもなります。


小柴さんがこれまで国のお金で物理学の極めてきたことに感謝を持ち、意欲ある後継者である学生を育成するためにこのような講座をもっていただけることは大変意義深いものです。


ILC計画(国際リニアコライダー計画)が少しづつ現実味を帯びてきていることは、地元紙の報道の熱の入れようにも明らかであり、聴講した学生や一般の方々も真剣な眼差しでありました。


これからも若者に夢を与え、夢が現実となるんだという、このような機会をつくっていかねばなりません。

posted by 飯沢ただし at 12:23| 岩手 ☔| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月08日

経済面からILCを考察する

11月6日(土)に奥州市において社団法人国際経済政策調査会の主催によるILCに関する講演会がありました。


今回は初めてILCによる経済面での波及効果について勉強する会でありました。

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講師はお二人で、野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社、コンサルタント部長の石井良一氏と野村総合研究所の経営革新コンサルティング部の北村倫夫氏。

私が特に印象に残った内容は

石井氏からは

「ILCは先端技術の固まりであり、建設時から世界中の研究者、企業が参画し、共同で装置を開発し据え付けが行われる」と述べ、立地が決定した時点から建設だけでなく多くの人が動き出すことを示唆しました。

また、研究者はセルン(スイス、ジュネーブにある大型加速器がある研究施設)の例から平均して10年は滞在して研究することから、付帯施設、例えば、インターナショナルスクール、母国語学校、教会、食材店、コミュニティースペースなどが必要になると述べました。また、研究施設だけでなく周辺環境と調和し、特に農業と無縁にしないことが国際科学研究都市を形成する上で重要なファクターであることも述べておりました。


北村氏からは


国際科学研究都市構想(仮称)について

国際科学研究都市とは知的産業クラスターである
【科学研究都市≒知的産業クラスター】

1国際科学研究都市形成の要件として

・コミニティーが形成されている
・快適かつ安全に生活と行動が出来るように社会インフラや生活サービスが充実している

2目指す方向として

・世界最高の水準の科学・自然・人間の調和を目指す
・世界の人々が滞在交流する多国籍居住地を目指す

3期待される経済波及額については

・科学研究都市面積を900haとして

ILC建設と都市の建設で2兆2080億円、施設活動運営費で9936億円
直接、間接のトータルで10年で5兆2026億円の効果が見込まれる。


何より、最後に北村氏がまとめの言葉として述べた

国際科学研究都市形成のためには、

構想(ビジョン)及び計画の策定が必要であること、また、そのために推進機構の設立が求められることを強く主張しておりました。


この講演会を通じて


これから当該地区(一関市、奥州市)を中心に計画策定に向けて住民を巻き込んだ組織作りが必須であり、仮に誘致が叶わない場合でも、これらの作業は将来の街づくり構想をする上でこの上ないノウハウが蓄積されることなります。特に人材の育成も急務な課題であり、今から小中学校の教育現場から科学知識や地域社会学の啓発していかねばならないと感じた次第です。
posted by 飯沢ただし at 23:57| 岩手 ☔| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月06日

国際リニアコライダー講演会in一関市大東町

6月5日(土)一関市大東町「室蓬ホール」において、一関市で初めての国際リニアコライダー講演会が開催されました。


この講演会の主催者は「社団法人 国際経済政策調査会(PSG)」でこの団体は、椎名素夫さんが国会議員になる前から主宰していたものです。

PSGは椎名さんが亡くなられてからも、産学官の連携や加速器の研究会を60回以上も開催するなどして国際リニアコライダー誘致に向けた活動を地道に行ってきました。


昨年、奥州市ではじめて岩手県でILC(国際リニアコライダー)の勉強会を同調査会が開催しましたが、今度は、一年ぶりで一関市大東町で行ったものです。


当日の講師は高エネルギー加速器研究機構(KEK)の特任教授である吉岡正和先生。


吉岡先生からは私は昨年にKEKに行って視察見学したものを「含めて今度で4回目でしたが、回毎に内容も、講演の演出の仕方もリバイスしており、主催者関係者である私も興味深く拝聴しました。


当日は予想外の大雨になってしまい、出足が心配されましたが、500人を超える方に来て頂きました。


講演中は、高度な質問も多数寄せられ、吉岡先生もタジタジでありました。

このような機会をこれからも設けて、私も誘致の環境整備に努めてまいりたいと思います。


声がけをしてくれた、関係者の方々、当日のスタッフの皆様に心から感謝を申し上げます。
posted by 飯沢ただし at 06:54| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月29日

第59回「加速器科学研究会」

第58回は奥州市で開催されましたが、今回は第57回と同じく仙台市内のホテルで社団法人 国際経済政策調査会の主催で行われ、私も参加してきました。


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今回は

「国際リニアコライダーの建設を支える土木技術」

という表題で山口大学の清水則一教授から講演がありました。



トンネル掘りの土木技術においては技術力において上位にある我が国ですから、問題はないだろうと思っていましたが、すでに候補地を想定しながらすぐにでも工事に取り掛かれる環境であることに驚きました。


清水先生によれば、今後のプロジェクト推進の課題として(工事面に関して)

1)マネージメントをどうするか

2)事業主体、発注方式をどうするか

3)リスクと保障をどうするか

4)異分野間の協働をどうするか(研究者・建設・行政)


があげられました。


土木建設と素粒子力学の研究者との意思疎通が大きな課題と言えそうです。



話は変わりますが、オリンピックとILCの候補地が日本とアメリカのシカゴが競合しており、私としてはオリンピックが東京になるとILC誘致は厳しく、シカゴにオリンピックが決まればILCは日本に有利と思いますが、いかがでしょうか?
posted by 飯沢ただし at 23:52| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月13日

大型加速器視察に参加

東北加速器基礎科学研究会の研修視察に便乗させていただいて、つくば市にあるKEKB加速器と東海村にあるJ−PARC(大強度陽子加速器)を視察しました。


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【KEKB(Bファクトリー)】

この加速器の実験成果によって2001年に「B中間子崩壊におけるCP対称性の破れ」を確認し小林・益川理論を実証した。

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【BELLE測定器】

加速器で光速に近い速さの電子と陽電子を衝突させ、大量のB中間子と反中間子を作り出し、この測定器によって量中間子の性質の違いを探り出します。

この日は幸運にも点検日で測定器の内部まで見ることが出来ました。先日視察に来られた皇太子殿下でもここまでは見れなかったとのこと。



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【J−PARCの内部】

KEKBの実績を踏まえて、新しい技術が多く投入されています。超電導技術の導入もそのひとつ。

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視察団には新日鉄釜石V7を支えた千田美知仁さんも参加しておりまして、昼休み時間にV7当時の話や日本代表時の試合の様子についてしつこく伺いましたあせあせ(飛び散る汗)。(視察より熱心だったりして)



今回の視察を通じて感じたことは、一連のノーベル物理学賞の受賞を支えた実験施設を目の当たりにして、我が国の素粒子力学が最先端であることと、ILC計画が日本、特にも北上高地に誘致することの重要性と波及効果についてさらに認識が深まりました。
posted by 飯沢ただし at 20:35| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月09日

リニアコライダー勉強会in奥州市

去る6月6日(土)に初めて岩手県(奥州市)においてリニアコライダー計画について勉強会が開催された。

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ご当地の方々をはじめ、わが大東町からも聴衆が駆けつけて大盛況の勉強会となった。中でも高校生と思われる学生が参加しているのを見て大変心強く感じた。


内容は素粒子力学がいかにわが国がフロントランナーになっていることや、リニアコライダー計画の誘致が北上山地で成功すれば、当該研究だけでなく副次的な科学的な成果も大いに期待されることが初めて明かされた。

例えばスイスで先行的なセルンという同種類の施設においては、インターネットのwwwというのが定着された事などが紹介された。


この勉強会は今回初めて岩手県で開催されたが、次回は一関市大東町で開催したい旨の主催者の意向も伝えられており、マスコミ報道も頻度を増し注目と関心が集まってきている夢の計画に、私も協力を惜しまず地域挙げての協力体制を敷きたいものだと考えている。



奥州市は既に研究者の付帯施設などに大いに関心を寄せて、人事的配置もしており、周辺自治体としては一歩も二歩も先んじている。それに比して地元一関市は・・・?


駅前再開発も結構であるが、このようなビッグな話をしながら街づくりを想定していった方が余程住民に建設的な発想を持たせるのではないかと思料するがいかがか? たとえ誘致に失敗したとしても、ダイナミックに視点での発想力を市民が蓄積することは、大いなる財産になると確信するものである。
posted by 飯沢ただし at 21:55| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月17日

誘致なるかリニアコライダー

某地元紙に14日(土)の一面に紹介された
「国際リニアコライダー(ILC)」に関して、「加速器科学研究会」が仙台市内のホテルで開催されるというので参加してきた。

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東北経済連合会と東北大、東北6県が、総延長約30`の巨大加速機「リニアコライダー」に関する研究会の設立に向けた準備を進めていて、国内の有力候補地に岩手県南の北上山地が上がっており、誘致に向けた環境の整備を目指す。との報道があった。

「リニアコライダー」は巨大加速器の意であり、
素人ではなかなか理解不能であるが、電子と陽電子を衝突させて宇宙誕生のビッグバン状態を再現する施設。

「リニアコライダー」は国境の枠を超えた世界の研究者による施設であり、基礎科学の最先端施設。

この研究により、医学原子力廃棄物の処理など、さまざまな分野に応用できるデータが抽出できるという。

この施設の立地は、どこでもいいというわけではなく、深さ100bを掘らなければならないことから地盤が安定していることが立地の絶対必要条件になってくる。北上山地は最も有力な地形とされている。

この施設の誘致が成功すれば、研究施設だででなく、千人規模とも想定される研究者のための住環境整備、学校、病院などの整備も必要となってくる。

しかし、誘致へのハードルはとてつもなく高く、8000億とも言われる予算の捻出をはじめ、国内でも福岡県など強力なライバルがあり、これからの東北全体での産学官の連携力が試される。

最近は暗いニュースばかりで、沈みがちであったが、夢のある実現可能なビッグな話題に触れ、ムクムクと胸が湧き上がる思いであった。

ここまで誘致の話が進んできたのは、故 椎名素夫先生がノーベル賞をもらった小柴さんとの関わりで、日本への誘致への道筋をつけたからであり、あらためて椎名先生の情熱と先見性に深く感じ入った次第である。
posted by 飯沢ただし at 22:52| 岩手 ☀| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする