2025年12月13日

安心して生み育てられる社会へ

「妊娠かタイトルか二者択一」
福間女流六冠が訴える将棋界の女性の権利


【日本経済新聞電子版 2025年12月11日 5:00】

将棋の福間香奈女流六冠(33)が、出産予定日前後のタイトル戦を事実上不戦敗とする規定の見直しを求めて声をあげた。女流棋士の妊娠・出産に関する制度の問題点が浮き彫りになり、日本将棋連盟は不戦敗の回避やタイトル保持者の地位保証を含む規定の整備を急ぐ必要がある。

「妊娠かタイトルか二者択一を迫られている。第2子を望んでいるがちゅうちょする状況だ」。2024年に第1子を出産した福間女流六冠は9日、妊娠・出産時期とタイトル戦が重なった場合の日程や開催地の変更、やむをえず対局ができない場合は地位を保証するといった内容の規定を求める要望書を日本将棋連盟に送った。10日には大阪市内で記者会見を開き、経緯などについて話した。

福間女流六冠によると、24年5月、安定期に入った段階で将棋連盟に妊娠を報告し、タイトル戦の日程変更の可能性を含めた希望を伝えた。ただ8月に入るまで将棋連盟との協議の場は設けられず、10月に指された2つのタイトル戦では妊娠・出産の規定がないことなどを理由に不戦敗に。一方、一部の棋戦では開催地や日程の変更が実現し対局することができた。

その後も継続して、妊娠してもタイトル戦で不戦敗とならない規定を要望してきたが、25年4月には「出産予定日を基準とした産前6週間から産後8週間までの期間と番勝負の日程が重複する場合に対局者の変更を行う」という規定が将棋連盟から女流棋士に伝えられた。8つある女流タイトル戦は年間を通して戦われている。うち6つを保持する福間女流六冠は、妊娠すればいずれかのタイトル戦で必ず不戦敗となる。事実上の不戦敗を明文化したこの規定はこれまでの運用と変わらず「あぜんとした」(福間女流六冠)と振り返る。

福間女流六冠は「まずは現在の規定をストップしてほしい」と強く訴える。対する将棋連盟の対応が後手に回ってきた感は否めない。

将棋連盟は24年10月に開いた記者向けの説明会で産休規定を整備する方針を示したものの、25年4月に示した規定は従来の運用と変わりがないものだった。福間女流六冠の記者会見を受けて、将棋連盟は10日、「妊娠期の女流棋士の権利と健康を適切に守る制度設計に向けて改定案を調整中で、より柔軟に当事者の意思に沿った対応が行える仕組みを検討しているところ」とのコメントを発表した。「棋戦の継続と母体の安全との両立を重視し、女流棋士がより不安なく対局に臨めるような環境づくり」を目指すという。将棋連盟はスポンサー企業の要望を踏まえつつ、各棋戦の土台となる踏み込んだ規定を作るのが急務だ。


勝負の世界においても従来なら泣き寝入りするところだが、社会の変化に対応するように堂々と主張を通すようになった象徴的な案件。女流で第一人者の福間棋士が手を挙げたことに大きな意味がある。

タイトル戦はスポンサーの意向と、挑戦者に不利にならないようにすることを同時に解決しなければならない難しさはあるが、善処していかないと組織の体質が問われることになる。そうなると女流だけでなく一般の棋士もイクメンで休養ということも今後考慮しなければならないかもしれない。

将棋連盟の会長は今年の5月から清水市代会長(元女流棋士)に変わっただけにどのように対応するか注目である。
posted by 飯沢ただし at 23:29| 岩手 ☁| Comment(0) | My Favorites 【お気に入り】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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