石破茂首相「責任」掲げ延命1カ月半 招いた政策遅滞
石破首相辞任へ
【日本経済新聞電子版 2025年9月7日 16:07 (2025年9月7日 19:25更新)】
石破茂首相は7月20日の参院選直後から党内の退陣圧力に抗い続けた。昨年の衆院選に続く敗北への責任追及に対し、米国との関税交渉や物価高政策を遂行することで政権を続ける大義を示そうとした。粘り続けた末の退陣は、結果として政策の遅滞を招いた。
参院選で目標としてきた与党過半数を維持できず、引責辞任を求める声が噴出した。続投する理由として挙げたのがトランプ米政権との関税交渉だった。相互関税が25%に上がる期限だった8月1日が迫るなか「自分でけりをつけなければいけない」と周囲に語った。
その関税交渉が7月22日に一旦合意すると「続投の大義は無くなった」との見方が広がった。「石破おろし」の動きが強まり、2027年9月までの任期が満了する前に臨時総裁選を開催する要求が相次いだ。
活路を見いだそうとしたのは中道保守の政治信条を共有する立憲民主党の野田佳彦代表との連携だ。8月4日の衆院予算委員会では、野田氏の質問に対して企業・団体献金の見直しを前向きに検討する考えを示した。
一方で、党内の空気は変わらなかった。倒閣派は野党支持層が首相を支持しているだけで、衆院選になっても自民党の得票は増えないとの論陣を張った。麻生太郎元首相は自らが率いる派閥の会合で、総裁選前倒しを自ら要求すると表明して流れをつくろうとした。
党内抗争の裏で、政策の調整は遅れた。企業・団体献金の見直しを巡る野田氏との連携は党内から反発を招いた。野田氏も立民内で参院選について「事実上の敗北」との批判を受け、自民党と協力しにくい環境になっていた。
物価高や米関税措置への対応に向けた経済対策の策定表明は9月5日にずれ込んだ上、具体的な項目は示せなかった。財政的な裏付けとなる補正予算案を臨時国会で成立するための道筋はついていない。
米国との関税交渉は、自動車関税の引き下げなどを含む合意に至るまで時間がかかった。9月4日にトランプ大統領の大統領令署名にこぎつける成果をあげたものの、すでに党内は総裁選前倒し要求への流れが出来上がっていた。
首相は政策への責任を訴えてもがき続けたが、党内基盤の弱さもあり続投はかなわなかった。野党との政策調整は次の政権に委ねる。参院選から1カ月半の粘り腰により新政権の立ち上げも、野党との政策協議も、遅れることになった。
決断が遅すぎた。石破首相は政治の空白をつくらないことが続投の意義だと強弁していたが、結局は50日間の政策執行の遅延を生んだ。立憲民主党との政策協議はよほどの党内のコンセンサスを得なければ実現は困難だろうにそこに活路を見出そうとは見通しが甘すぎだ。
肝心の党の支持基盤を得られない状況下でトップダウンで事を進めれるとでも思っていたのだろうか。
参議員の敗北が決定した時に辞職すべきであった。敗北の責任をトップが取らなくては組織が持たない。組織の基本を無視して自分の理屈で通そうとするのはそもそも無理筋であった。
2025年09月07日
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