享年83歳。
【高校2年時に北上書房で購入したベースボールマガジン社のレッズ来日記念特別別冊、中心がP.ローズ】
ピート・ローズ氏の放った4256安打はMLB最高安打数であること、引退後には自らのチームを賭けの対象となり球界追放になったことが記事では必ず併記されて何やら印象が交錯するが、私の記憶は紛れもなく彼は「ビッグレッドマシン」のチームリーダーだったことだ。
チャーリーハッスルのニックネームが示すようにヘッドスライディングでチームメイトを鼓舞するなど自らのパフォーマンスでチームをけん引した。監督のS.アンダーソンはチームが不振の時、ローズに喝を入れるだけで十分だったと著書で記している。V9時代の巨人の川上監督と長嶋のような関係だったと想像できる。J.ベンチやJ.モーガンもチームを運営する上で精神的な要だったが、ローズは常に前を向きで、へこたれることのない不屈の精神こそがチームの象徴だった。
特徴的なクラウチングバッティングフォーム。スイッチヒッターで右に左に打ち分ける技術と勇猛果敢なプレースタイルがファンの心を引きつけた。特にブルーカラーの多いシンチナチのファンは熱狂的に支持したと聞く。熱血な性格が1973年のリーグ決定シリーズでメッツのハレルソン遊撃手との乱闘を呼び起こしたこともあったが。
【今でもワールドシリーズ史上最高のシリーズと呼ばれる1975年の対レッドソックス戦。第7戦で逆転の口火を切ったのもローズの一撃だった。】
このワールドシリーズからも半世紀が経つ。この頃の選手も70代後半から80代になり、すでにJ.モーガンも逝去されている。考えてみれば無理のない現実であるが、なんとも寂しい。大谷選手の大活躍で涌く昨今だが、私は70年代のMLBが最高のベースボールの魅力を持っていると信じているので、そうした大事な思い出のピースが欠け落ちていくのは心に穴が開く思いがする。
10代の頃からMLBの魅力を伝えてくれたローズ選手にはありがとうと伝えたい。
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