2023年12月08日

ライドシェアについて

ライドシェアへの期待増

【日経産業新聞電子版 2023年12月8日 2:00】

新風シリコンバレー
日本では深刻化するタクシー不足を背景にライドシェアの解禁をめぐり議論が進んでいる。すでにライドシェアサービスのUberやLyftが広く普及しているシリコンバレーでも新たな動きがある。

スタンフォード大学の目の前にあり、弊社オフィスもあるパロアルト市が3月から「パロアルトリンク」という新しいライドシェアサービスを始めた。従来パロアルト市は決まったスケジュールで決まった経路を走るシャトルバスを運行していたが、それを廃止。代わりに、乗客がアプリから好きな時間に好きな場所で呼べるオンデマンド型の乗り合い送迎サービスが開始された。

実際に提案される乗車位置や降車位置からは少し歩く必要があるが、パロアルト市が運行する10台のテスラが最適化されたルートで街中を走り回っている。平日の朝8時から夜6時までパロアルト市内のみで運行しており、1回の乗車は3.5ドル。学生、高齢者、低所得者などは1ドルと安く利用できる。

アプリに目的地を入力すると乗り合いサービスだけでなく、電車とバスを組み合わせて、最適な公共交通機関を提案してくれる。

パロアルトリンクを裏で支えているのが米ビア・トランスポーテーション社の技術だ。イスラエル空軍出身者によって2012年に創業されたスタートアップだ。世界中の自治体向けにビアのソフトウエアを提供することで、パロアルトのように自治体がすぐに自分たちのライドシェアサービスを立ち上げることが可能だ。

課題もある。ドライバーはUberのような歩合制が中心ではなく、時給最大24.5ドルの固定給。乗客がドライバーを評価する仕組みもないので、ドライバーが顧客によいサービスを提供しようとするインセンティブが弱いように思える。実際に使ってみると、アプリ上で表示される待ち時間より長いこともしばしばあり、ドライバーの態度や車内の清潔さも最高とは言い難かった。だがこれも早晩改善されていくであろう今後の伸びしろだ。

日本でも地方自治体がスタートアップと組んで独自のライドシェアサービスを運行する事例は増えてきている。長野県茅野市がビアと組んでライドシェアサービス「のらざあ」の運行を開始しているし、ニアミー社のような乗り合い送迎サービスを提供する日本のスタートアップもある。

最近、子供が通っている中学校の親達が参加するWhatsAppのグループのあいだでパロアルトリンクが話題になった。自転車通学も多いため、交通事故が起きた。その対策を親達が議論している中で、子供がパロアルトリンク使って通学することで事故が減らせるのではと盛り上がったのだ。

ライドシェアが実現するのは、タクシー不足のその先にある、大事な子供の安全であり、一日中送迎ばかりで自分の時間が持てない親の自由な時間であり、移動による高齢者の活力といった、乗客一人一人の幸せな未来なのだ。

[日経産業新聞2023年12月5日付]


人口減少が急加速化する山間地などでは地域公共交通が喫緊の課題となっている。

ライドシェアではないが、先月末に紹介された二戸市と民間タクシー会社がコラボしたデマンド交通「チョイソコにのへ」など全国の地方でも工夫したチャレンジが始まっている。

政府が推進しようとしているライドシェアの動きに対して今議会ではライドシェアに慎重な請願が提出されているが、私はいろいろな選択肢を排除せずにどんどん施行していくべき段階に入ってきていると思う。

最近、自分自身が経験していることだが盛岡市内でも希望する時間帯にタクシーが予約できなくなっている現実がある。5年先に状況が良くなるとは到底思えない。

紹介したシリコンバレーのパロアルト(実は私は行ったことがある)でもまさに試行段階であり課題も出てきているが、挑戦していくことが大事だと思う。既得権や制約を打ち破る覚悟がないと決して前には進めない。
posted by 飯沢ただし at 23:41| 岩手 ☀| Comment(0) | My Diary  【ふつうの日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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