2023年05月21日

達増県政振り返りC

昨年の9月に標題のタイトルで私の検証作業を行った(@〜B)が、ちょうど岩手日報社でその関連の特集を組んでいるのでそのテーマに従って達増県政振り返りを日報社が選んだ識者の見解に呼応する形で分析を加えていきたいと思う。

私は議会側から達増県政に16年間常に向き合ってきているし、なおかつ増田県政8年も経験している。この県政運営の違いを知る議員も数少ないので多面的に考察できるのではないかと思う。よって日報社が選んだ識者とは立ち位置が異なるし見解に相違があるのは当然であることを前もってお断りしておく。

1⃣ 復 興
識者は政府の復興構想会議の元委員 大西 隆氏

大西氏:岩手は被災市町村が自律的な意識で復興に臨んだ度合いが大きかったように感じる。私が岩手の復興に関わった時も県に何かを求めようという話はあまりなかった。

私の印象も同じ。復興初期段階では被災自治体は生活再建どころか現状対応が優先されて余裕もなかった。私も被災首長へのヒアリングは迷惑にならないよう配慮しながら度々行ったが、県に対するダイレクトな強い要請は感じ取れなかった。逆に私から陸前高田市長へは広域振興局は産業振興の戦略拠点なのだから積極的な仕掛けを要請したらいいのではと助言したほどである。

大西氏:達増知事は被災地の話を聞いて丁寧に進めていた印象がある。(中略)国が用意した共通のメニューの中で復興は進められた。どこかの県がユニークな復興をしたとはならず、一定のメニューを消化してきたとも言える。

これもほぼ同意。ただ県と国との折衝役に当時の上野善晴副知事(財務省出身)の働きが特段に大きく、知事自身が直接的に深く関わった印象はほとんどない。(報告は受けていただろうが)その証拠にいまだに知事と首長とのアクセスは脆弱のままである。これは河北新報社のアンケート結果により明白な事実である。
また、三沿道をはじめとした復興道路や復興支援道路の建付けは上野副知事が中心となって決定したことは直接本人から聞く機会があった。達増知事が主導的に行ったのではないことを認識するに十分な会話の内容であった。

大西氏:未来志向の話をすれば新しいニーズや仕事をどう興していくか、挑戦する人、若い人をどう支援していくかが重要になる。(中略)これから大切になるのは人材育成だ。(中略)時代は動いている。今後は「復興プラスアルファ」の部分が大きくなるだろう。

ここは大西氏の見解に激しく同意。県はハード面の目途が立ったあたりから人材育成については大胆に動くべきだった。知事にそうした強い問題意識がなかったのが動けなかった大きな要因と思料する。確かに目の前の課題をさばくのに労力を要したことは認めるが、結果的に国の一定のメニューを消化したにとどまったと言えるだろう。

復興防災プロジェクトなる一過性のイベントを行うより人材育成の基金を被災自治体に積んであげる仕組みを作り、広域振興局と共に政策を共有し実行した方がよほど効果的な予算の使い方ではなかったか。あのプロジェクトでどれだけ職員の労力を疲弊させたか知事は知っているのだろうか。
posted by 飯沢ただし at 23:47| 岩手 ☁| Comment(0) | My Diary  【ふつうの日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。