西粟倉村(にしあわくらむら)は人口1384人/597世帯(R4.3)、高齢化率は37.4%。面積は57.93%、内92.6%(そのうち人工林が83.6%)が森林の中山間地。鳥取県、兵庫県と隣接していて岡山県の最北東部に位置しています。
西粟倉村はこんな小さな村なのにやっていることは最先端。ローカルベンチャー企業の立地が52の事業所にも及んでいる村。百年の森林に囲まれた上質な田舎を実現するローカルベンチャーの村と題し、地方創生の取り組みをしている村です。以前から森林整備には熱心に取り組まれてきた歴史という財産がありました。
ILCでお馴染みの吉岡先生がグリーンILCの取り組みで先進事例に挙げた村ということで今回調査対象になったそうです。
【自動販売機にも村を自己発信する徹底ぶり】
平成の市町村合併を選択せずに独自路線を選択した西粟倉村ですが、財政状況が厳しくなることを強く意識して地域外から人材を確保する取り組みを実施。その過程でフラッグシップ戦略【一点突破】で百年の森林の構想を着想。それを基にした事業が始まりました。
最初に設立されたのが「(株)西粟倉・森の学校」
ここがローカルベンチャーの呼び水の起点となり増殖していくことになります。
この過程でローカルベンチャーの考え方も整理されてきました。すなわち「無いものを埋めるのではなく、積み増していく」という考え方。ここにたどり着き先導者たちが共通認識を持ったことでさらに方向性が見えてきたのではと私は感じました。
私の結論から言えば、やはり人の熱量と行動力が不可欠で、構想と発信力が外部の人たちに魅力を感じる村として起業するモチベーションにつながっていったのだと推察。
令和3年度に全館オープンした「あわくら会館」の中に村役場があるという発想の大転換。村議会の議場も「あわくらホール」の多目的ホール内に議会の度に設置をされます。住民がいつでも使えるミーティングルームがあるのも魅力的です。
ローカルベンチャーの増殖とともに若い世代の移住も若干ですが増えています。ただ村としては移住目的が最終目的ではなく昼間の働く人口を増やすことに主眼を置いています。何にしても合理的に発想し、外部の人たちの能力を生かし、補い、共に活用することで成果が生まれていると感じました。
中山間地と言えども街中に高速道路(鳥取道)と黒字の第三セクターの鉄道交通網が確保されているのは大きな強みです。
大変参考になった視察でした。
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