私は事前に事務局が用意した案を入手した。
回を重ねるごと我が国の基礎科学に対する委員の発言も目立ってきたと聞いていたが、とにかく否定的な方向に導こうとする考え方がありあり。
これまでILCに対して積極的な発言が相次ぐと座長が急に抑制をかけるような場面もあったと仄聞されており、事務局案も座長の意向を汲んだものになったと推察する。
【1月21日 岩手日報朝刊4面】
ところが新聞報道によれば、事務局案にあった「現時点において提案研究コミニティーが希望するILC準備研究所への移行を支持することは困難と言わざるを得ない」から委員から「困難と言い切るのではなく、タイミングが今ではない、今すべきことは、という提言にした方がいい」という提案があり「機が熟していない問う言葉で表現される」など多くの委員から賛同を得た。となっている。
結局、事務局案である困難という言葉は否定され、今後の展開に含みを持たせた内容に変わったと言っていいだろう。
【1月21日 岩手日日朝刊第一面】
よって、見出しの時期尚早の言葉だけだと否定的に映るが、実はその逆であったということだ。
国家プロジェクトは最終的に総合的見地から政府判断によるものであるから、文科省の有識者会議がすべてを結論付けるものではない。しかし、幸運なことに学術的意義と素粒子物理学の発展の必要性は認めることを盛り込まれる予定であることは前進する要素の方が大きいと私は思料する。
政府レベルの国際協力などの面で、まだ機が熟していないとの座長のコメントがあったが、国際間の協議、特に予算が絡むものは駆け引きが行われるのが当然で、すべての手が日本に有利なる状況にオープンになるということはあり得ないと私は思うのだが、そこを自分が知らないから機が熟さないと断言するのは私の方が疑問に思う。
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