任期中毎に設置される議員定数等検討会議が今、ヤマ場を迎えています。
選挙区の区割り変更は、国勢調査による人口統計が重要な判断材料となるのですが、調査結果と検討会議の議論する時期が噛み合わないと過去の例をみるとなかなか改革に切り込めないことがよくありました。
今回はしっかり噛み合っていますので、東日本大震災等によって但し書き(ペンディング)されていたものを今回は議会として動かさねばならないと私は強い義務感を持っています。私もこれまで過去に定数懇談会時代からこの会議には委員として加わっていますので、特に一人区の解消については長年検討課題として申し送りされてきました。したがって議会の自治として今回こそは形にせねばならないと決意しています。
定数48人、遠野選挙区一人区は現状通りとすること(遠野地区は配当期数1を上回っていることと、地政学上他の選挙区と合区することは困難であるとの結論)はすでに交渉会派全会派の合意を得ていますので、残す課題は他の一人区をどのようにするかということになっています。
第三会派の「いわて新政会」のみが一人区を解消しないで現状の通りを主張しています。
その理由は東日本大震災の影響が残る中、県北沿岸地区には定数を維持すべきであるを理由にしていますが、これまでの議論で温存が最優先で一人区解消には明確な根拠を示せていません。
新政会には再編対象の該当地区選出の議員が3名在籍しており、こうしたことも議論が前に進めない理由かと推察しますが、議会が自律作用を失っては県民の議会に対しての信頼が保持できないと考えます。
一人区は有権者の多様な選択肢を奪い、死に票も増えます。これは有権者の政治参加や行政課題への向き合い方にも影響を与えます。現に県北の九戸選挙区は三回連続無投票という結果になっており、12年も選挙が行われなかった事実は民主主義の醸成という観点から好ましいこととは言えません。
現状から変化を加えることには必ず抵抗が出ます。しかし、先人の議員も厳然たる数字(人口減)の前に一定のルールの下に厳しいヤマ場を越えてきました。現職である我々はこれを避けて通れない時期になっている、問題を先送りはできないと思います。
具体的には、今回の人口統計を基にすれば、久慈選挙区定数2から1へ、九戸選挙区が1のまま、二戸選挙区が定数2から1へということになります。現状から比較すると県北地区が5から3、定数2減になります。
今回提示された案、すなわち九戸選挙区を分割して軽米町、九戸村を二戸選挙区に、洋野町を久慈選挙区に合区すれば、二戸選挙区、久慈選挙区とも定数2となり県北地区2減が1減にとどまることができます。軽米町と九戸村は県北のカシオペア連合で二戸地域という括りで歴史的にも文化的にも密接な関係にあるという背景があることも分割を可能にする根拠になっています。これまでこうした議論が出来なかったのは選挙区の括りに「郡(ぐん)」という考え方がありました。しかし、法律の改正により「郡」による縛りはなくなったことが議論を可能にしました。
第一会派の「希望いわて」、第二会派の「自民党」、第四会派の「いわて県民クラブ」もこの九戸選挙区分割案で進める意思表示をしています。また、25日の会議で意見が割れていた大船渡選挙区、陸前高田選挙区も合区することを自民党も容認したため、大きく一人区解消への流れは強くなってきました。
今回の人口を基にした選挙区割りで一人区が一気に2つも増えることを容認してしまえば、県議会は自律する機能がないとの指摘を県民から受けることになりかねません。
地域振興のために県議の数は必要との対象当該自治体の気持ちは理解しますが、但し書きは大きな事由があり、それを議会全体が共通理解してはじめて適用されるべきものです。県北地域の自治体からは定数5維持の要望書が県議会に提出されていますが、そもそも久慈選挙区は2回連続但し書きの適用を受けて定数を減じていませんので5という数字は現実的にありえなく、国勢調査の結果から現状の3から議論を始めることになっていることが認知されていないと思われます。
次回の会議は12月8日。議会の自治能力が問われる定数検討会議です。
2021年11月27日
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