2021年05月15日

ILCに係る県内企業の実態について調査

総務常任委員会の県内調査が二日間の日程で行われ、二日目は標題の件について集中的に調査しました。
ILCに関連した取り組みをしている企業に関した手は吉岡先生から断片的にお話は伺っておりましたが、実際に県内の企業を訪問するのは初めてです。

訪問したのは3社。

@(株)WINGさま(北上市)

1.超電導加速器空洞用縦型電解研磨装置(VEP)を兵庫県のマルイ鍍金工業と共同開発中。県工業技術センターが主幹

KEKで現在使用されている超電導加速器空洞の研磨装置は横型で高額な樹脂素材を用いているが、縦型に置き換え安価な素材を代替することで研磨装置のコストを4分の1にまで抑えることができる。

2.グリーンILCへの取組

ILCから放出される熱をハスクレーと呼ばれる素材を使用して、熱を運搬可能に。すでに実験中

A 岩手製鉄株式会社さま(北上市)

ILCクライオモジュール精密位置決め調節架台用「アクティブムーバー」の機構開発の取組

・鋳造による架台開発
・小型化設計及び架台との最適組み合わせ設計
・位置決め方式(制御方式)の検討

一関工業高等専門学校の藤原康宣教授の知見と組んで上記のシステム「アクティブムーバー」を開発。10tを越えるクライオモジュールを0.01mm以下の精度で位置決めする性能をILCでは要求されているが、本研究開発はそれを満たす製品化までを開発中。

それも同社が蓄積してきた鋳物技術を架台下部に採用することを提案。質問して驚いたのはCERNでもKEKでも位置決めをシステムで行っておらず伝動装置を手作業でボルト留しているとのこと。この技術は認められてKEKのATF装置に導入が決定している。

同社ではこれらの技術だけでなく将来はR&D(研究開発)部門の拡張を計画中。

B 株式会社近藤設備さま(花巻市)

1.複雑に入り組む加速器の配管を、同社の高度な3次元スキャナーBIMで「見える化」に
2.素粒子の陽電子を発生させる装置「陽電子源」の冷却装置に関して共同研究を進める
3.ILCホストタウンに関して農的暮らしを体験する持続可能なエコタウンを提案

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同社では東北大学に建設する次世代放射光施設の冷却用配管工事も受注済み。写真の配管はその一部。

ものづくりの現場を訪れると常に前を向いて新しい技術に挑戦する意気込みを感じます。
ILCが要求するハイレベルな技術にも既存のノウハウを活かして果敢に挑戦し、なおかつ新しい分野にも意欲を燃やしている3社共通の姿勢に感動しました。これらの技術が花が咲くように誘致実現に向けてしっかりと私も頑張ってまいります。
posted by 飯沢ただし at 23:51| 岩手 ☁| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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