いすゞ、米社からエンジン調達 コスト削減で電動車集中
【 2021/1/27 18:00 (2021/1/28 5:14更新)日本経済新聞電子版】
いすゞ自動車は主力のディーゼル型トラックのエンジンを外部調達する。一部車種について2021年中に米エンジン大手のカミンズから供給を受け始める。既存のエンジンの研究開発費を年間で数十億円ほど減らし、電動車など次世代車の開発に振り向ける。脱炭素への対応を迫られるなか、外部との協業で次世代事業の原資を捻出する動きが広がりそうだ。
トラックの性能を左右するエンジンは、通常は自社で開発・生産するケースが多い。いすゞがディーゼル型トラックで他社からエンジン供給を受けるのは初めてとみられる。
排気量や馬力が比較的大きい中型トラックの一部車種について、カミンズが開発したエンジンを搭載する。こうした車種は21年中に北米などで販売を始め、その後、日本など他の地域にも広げる。需要地での環境規制への対応や燃費改善などの最終調整はいすゞが担う。
一方、いすゞは主力の小型トラック向けエンジンをカミンズに供給することを検討する。
カミンズはエンジン専業メーカーで、トラックや建機向けの大型エンジンに強みを持つ。同社といすゞは19年に環境負荷の小さい次世代エンジンの開発で提携した。今回は既存領域であるディーゼルエンジンの供給でも手を組む。
こうした動きは自動車業界で相次ぐ。ホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)は北米でガソリン車のエンジンなどの基幹部品を共通化する。独ダイムラーも20年に、中国民営自動車最大手の浙江吉利控股集団とハイブリッド車(HV)向けのガソリンエンジンを共同開発すると決めた。
日本政府は35年までに全ての新車販売をHVなど電動車にする方針を掲げる。トラックなど商用車でも全てを対象とするかは21年夏までに決める方針だが、世界で環境規制が強まる中、電動化の対応は必至だ。既存事業の効率化をこれまで以上に進める必要性が高まっている。
ついに大型トラックメーカーのエンジンまで調達の動きが出てきた。投資効率は良くなるが果たしてメーカーのユーザーのブランドイメージにどのように影響を与えるのかマーケットに対してはもろ刃の剣と思料する。
電動化の動きも加速中だが、コロナ禍の影響もあり不透明さはつきまとう。自動車メーカーは電動化方向性は定めつつも年次の生産計画は手探りが続きそうだ。
2021年01月28日
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