ちょっと筆を休んでいる間に月も変わり9月になりました。今年も残すところ4カ月を切りました。
思い起こしてみると昨年の今頃は選挙活動真っ盛りでしたが、この一年はコロナ禍によって大きく活動の規格の変化を余儀なくされて、時間の経過の速さにいまさらのように驚いています。

ちょうど一週間前に議会閉会中の常任委員会が開かれ、私の所属する総務常任委員会では「ILCの最近の情勢」について担当局から説明がありました。
先月に記事に上げた情報からは特段目新しいものはなかったのですが、重要な部分を書き出してみると
2020欧州素粒子戦略アップデート
・電子陽電子ヒッグス・ファクトリーが、最も優先度の高い次のコライダーである。
・日本におけるILCのタイムリーな実現は、この戦略に適合するものであり、その場合、欧州の素粒子物理学コミニティは協働することを望む。
さらに詳細に解説を加えると
💡次の最優先はヒッグスファクトリー。四つの候補(ILC、CLIC、FCC-ee、CEPC)のうちILCとFCC-eeの二つをあげた。
💡次の戦略更新まで(約7年後)は、「将来ハドロンコライダー」の研究開発と技術的・財政的実現性の検討期間とする。
💡「将来ハドロンコライダー」の第一段階としてFCC-eeもありうるが、現行計画(HL-LHC)は2038年まで運転が決まっているので、FCC-eeの実験開始は早くても2050年近くになる。
💡ILCがタイムリーに実現(2035年頃実験開始)する場合は、欧州の方針と適合しており、欧州コミニティは協働して取り組みたい。
ILC:直線型 電子・陽電子加速器⇒国際リニアコライダー
LHC:円形型 陽子・陽子加速器⇒ラージハドロンコライダー、CERNですでに運転している円形加速器(円周27km)
HL-LHC:LHCを高輝度化したもの
FCC-ee:将来円形型 電子・陽電子加速器、次世代のCERNで建設予定の円形加速器(円周100km超)
CLIC:欧州の別の技術による直線加速器
CEPC:中華人民共和国の円形加速器計画
今回の欧州戦略会議には研究者のみならず各国政府の要人も参加をしており、要はILCへの協力体制は先に表明している米国と合わせて欧州も加わり万全なものとなったと言えます。
私からはこの度KEK内に設立されたIDT(Internatonal Developement Team)の運営と財政基盤、ILC推進協議会から東北ILC事業推進センターに改組したことによる本県のイニシアティブの発揮等について質問しました。
特にすでにILCによる将来ビジョン形成において本県がいかに戦略的に動けるかについて提案を含めて申し上げましたが、担当局長からは「ILCによる地域振興ビジョン」は素晴らしいものだという自画自賛の答弁しか出て来ず、これからの誠に厳しい現実認識不足が露呈し、厳しく注文をつけた次第です。