【2019/11/22 17:32 (2019/11/22 22:28更新) 日本経済新聞電子版】
韓国政府は22日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関し、23日午前0時の失効を停止する方針を日本側に伝えた。日本が厳格化した輸出管理措置については、世界貿易機関(WTO)への提訴手続きをとめる。日韓間で輸出管理措置の政府間協議を開く。
日本は韓国の輸出管理体制に懸念があることなどを理由に、半導体関連材料3品目の管理を厳格化し、その後、戦略物資の輸出手続きを簡素化する優遇対象国から除外した。韓国側は元徴用工問題などに対する経済的な報復だと反発した。優遇対象国から日本を除外し、日本の措置がWTO協定に違反しているとして提訴した。
今回、韓国側はWTOへの提訴手続きを中断すると決めた。今後は日韓の関係当局間で輸出管理のあり方を協議する。茂木敏充外相は22日夜、名古屋市内で記者団に「今後、関係当局間で対話がなされる」との見通しを示した。一方で「GSOMIAと輸出管理の問題は全く別の問題だ」と強調した。
GSOMIAが失効すれば、日韓が協定に基づいて融通し合ってきた北朝鮮の弾道ミサイルに関する情報は、両国が同盟関係にある米国を経由して入手することになる。情報収集や共有に時間の遅れが生じ、事後の分析にも支障が出かねない。
日米韓の安保協力のきしみに乗じ、北朝鮮だけでなく中国やロシアも東アジアでの軍事活動を活発化する懸念が指摘される。米国は韓国に協定の継続を働きかけてきた。
米国務省は22日、失効を回避した韓国の決定を「歓迎する」との声明を出した。
振り上げた拳を下すタイミングを失した韓国。結局は米国の働きかけにより問題を先送りした格好となり、WTO提訴手続きは止めるという結論を日本に伝えなければならなくなった。
北朝鮮並のギリギリ外交手法は今回は日本には全く通じなかったという結果になった。今回の政府の対韓外交は実に毅然としてして、評価に値する対応だったと思う。
内政にあっては日本に屈することなど決して言えない文政権。米国は一連の韓国の対応についてかなりの不信感を抱いたとの報道がされている。今後も韓国は対日外交に関しては国民に成果の口実を並べる苦難の連続であろう。
一方、韓国の市民にも未来志向で動きべきだとする声が表に出てくるようになってきた。ようやく現実を直視し、熟慮する階層が国内に出て生きたことはとてもいいことだと思う。アジア全体を俯瞰した視点を重視した両国の健全な相互発展を私は期待したい。
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