2018年10月27日

毎日さん、大丈夫???

国内外の物理学者らが北上山地(岩手、宮城県)への誘致を目指す次世代加速器「国際リニアコライダー」(ILC)を巡る議論が大詰めだ。宇宙誕生の謎に迫るとされる施設だが、8000億円もの建設費をどう確保するかなど、多くの課題がある。
【酒造唯】

 ●ヒッグス粒子分析

 加速器は、光速近くにまで加速した電子や陽子などを衝突させて壊し、より基本的な構成要素の素粒子の性質などを調べる装置だ。宇宙誕生直後の高エネルギー状態を作り出せ、新しい素粒子の発見や物理法則の解明に役立ってきた。

 加速器には円形と直線状の2種類がある。ILCは後者で、地下約100メートルに長さ20キロのトンネル…



10月25日(木)の毎日新聞朝刊、23面科学の森という欄でILCを取り上げた記事が出たました。ネットでは有料記事になっているのでここで紹介できるのは前段のごく一部ですが全文を読むと首を傾げてしまいました。


朝刊を読んで内容を見ると、事実とは異なる重大な点を堂々と書いている点に仰天しました。

●建設費巨額8000億円
●計画縮小 成果疑問

こんな小見出しが目を引くように記事になっています。

8000億円って一体いつの情報なんでしょう?
計画の見直しは下記の文科省がリリースした報告書で明らかなように研究者による機関で正式に決定されたものであって、250GeVでも十分にヒッグス粒子関連の研究成果が期待できるとされたものと私は理解しています。その上でステージングによって当初の建設費8000億円からイニシャルコストは半額程度に抑制可能ということになっているはずです。


ILC に関する国際的な研究者組織の一つであるリニアコライダー・コラボレーション(LCC)でまとめられたILC 計画の見直し案が、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)における審議1を経て、国際将来加速器委員会(ICFA)において承認2され、平成29 年11 月に公表された。この見直しにおいては、2017 年までの欧州合同原子核研究機関(CERN)における衝突エネルギー13TeV のLHC 実験結果を踏まえた上で建設に必要なコストを引き下げることも考慮して、ILC の衝突エネルギーを500GeV から250GeV とする提案(以下「250GeV ILC」という)に変更された。


科学にまつわる関係者にもいろいろな意見があることは認めますが、記事にする以上は事実は正確に書いてもらわないと「科学の森」の名が泣きます。

最近ILC実現に向けて動きが活発になっている中で、慎重派も同様に危機感を感じているということだけは汲み取れますが。ネーム入りの記事ですので記者の見識は歴史が証明してくれるでしょう。



posted by 飯沢ただし at 01:40| 岩手 ☁| Comment(0) | My Diary  【ふつうの日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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