2017/7/11 13:42日本経済新聞 電子版
政府は先進的な事業に取り組む地方自治体に配る地方創生推進交付金の支給対象を広げる。人工知能(AI)やロボットを生かしたものづくり、医療・介護サービスなど新たな需要が見込まれる分野を想定している。競争力の高い事業に従来の上限額を超えた支給を認め、地方創生と東京一極集中の是正を後押しする。
政府は月内にも自治体向けの新たな要綱をつくり、配る。8月にも新基準に沿って自治体の提案を受け付ける。手続きは地方の有力企業が自治体に事業計画を出す。自治体がそれをもとに活性化策をつくり、政府に地方創生推進交付金を申請する。政府は雇用、所得が増えるかどうかで申請を認めるかを判断する。
現在、出産・育児支援の充実、観光や農林水産業の振興が同交付金の主な支給対象だ。IT(情報技術)で農産物の生育を自動で管理する農業や宗教や嗜好に応じた国別の外国人観光の集客策を支援している。
地方創生推進交付金は政府が事業費の半分を出す仕組み。自治体も事業費の半分を出さなければならない。現実には負担を嫌う自治体は交付金の申請に慎重だ。2016年度に政府が交付を決めた自治体の事業数は1200あまり。交付金額は計上した1000億円を下回った。
新基準は「地域の雇用や所得を増やす事業」を対象に新たに明記し、交付金を使いやすくする。地域の雇用者数や新事業の販売額など具体的な成果目標を事業者や自治体に求める。
新規事業はAIや最先端のロボットを活用した生産性の高いものづくりや、個人の健康状態や遺伝情報に適した医療・介護サービスが念頭にある。交付金の使い道を少子高齢化の進展に合わせ、需要と供給のズレの解消も狙う。
1事業の交付金の上限額はこれまで都道府県向けが4億円、市区町村向けは2億円だった。17年度からはそれぞれ6億円、4億円に引き上げた。新基準で交付の対象となれば、この上限を超える額の支給も認める。
総務省の人口移動報告によると、14年に10万9408人だった東京圏への転入超過数は、16年に11万7868人に増えている。東京一極集中は改善するどころか、進んでおり、地方の空洞化の懸念は高まっている。
▼地方創生推進交付金 安倍政権が人口の東京一極集中を是正する地方創生の柱として2016年度に新設した交付金。先進的な事業に取り組む自治体に重点配分する。出産や育児支援の充実、観光や農業の振興に資する事業を主な対象とする。16、17年度予算でいずれも1000億円を計上した。
国が自治体に配るお金には地方交付税交付金もある。自治体の収入の格差を少なくするため、国税の一部を税収の少ない自治体に回す。自治体の一般財源となり、国は使途を制限できない。
さあて、岩手県はどんなふうに知恵を出すかな?いくら財源半分支出でも使わない手はないですよね。
確か本県は成長産業に医療分野を入れてるはず。未来を見通す真価が問われるぞ。
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