AI、IoT活用へ行程表 経産省が新産業構造ビジョン
2017/5/29 12:02日本経済新聞 電子版
経済産業省は29日、人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT技術の活用を柱とする第4次産業革命の実現に向けた新産業構造ビジョンをまとめた。2030年を目標年次とし、自動運転の普及によって運転手が原因の交通事故を半減させることなどの将来像を提示。そのために必要な制度改革や法整備の行程表も示している。
新産業構造ビジョンの骨子
戦略4分野
【移動】 自動運転の普及を通じて、交通事故や移動困難を解消
【生産】 データ利活用で生産効率化や省エネを実現
【健康・医療】 健康データやIoT技術を活用し、健康寿命を延ばす
【暮らし】 スマートシティやシェアサービスの普及で、地域経済の活性化
経産省が産業政策に関する包括的なビジョンをつくるのは10年以来となる。6月に政府がまとめる成長戦略の骨格に位置づける。フィンテックなどの新事業の育成に向けて、規制を一時停止する「レギュラトリー・サンドボックス制度」の導入も提言した。
ビジョンは4つの戦略分野を掲げ、30年の将来像から逆算して規制改革を提案する構成になっている。4分野は自動運転などの「移動」、製造現場でのデータ利活用などの「生産」、介護や寝たきりを無くす「健康・医療」、スマートシティなど「暮らし」だ。
「移動」では、自動運転の普及を加速して運転手が原因で起きる事故を半減させるほか、公共交通機関が近くになく「買い物難民」と呼ばれる移動困難者も限りなく解消するようにする。
自動運転の普及に伴うルール整備のため、道路運送車両法や道交法の改正を進める。新東名高速での自動運転の実証事業などを20年までに順次進めることも打ち出している。
「生産」では、ビッグデータの活用による製造業の効率化を通じて、30年までに労働生産性を2%上げることなどを目標に掲げた。企業や業種の枠を超えてビッグデータを共有し、20年までに企業間でのデータ交換の枠組みが50以上できるように支援策などを講じる。
「健康・医療」では、平均寿命と健康でいられる年齢の差について、30年までに5歳縮めることを目標とする。目標実現に向けて個人の健康データを活用した予防医療に軸足を移す。カルテなど個人の医療情報を患者自らの意思に沿って、様々な医療機関やクリニックで使えるようにするためのシステム作りも進める。
一連の取り組みに必要となる知的財産関連法制などの改正作業は今夏から順次進め、中でも不正競争防止法や特許法については、来年の通常国会に改正案提出をめざす。
産業の新陳代謝を進めるため、産業革新機構のような官民ファンドによるベンチャー企業などへの資金供給のあり方などを再検討する必要性についても言及した。
昨年、経産省の菅原事務次官が一関市で話をした内容が、期限を付されたビジョンが正式に示された。第四次産業革命の入り口に立ったということになる。
さて、このビジョンを受けて本県は現在のボトムアップを基本とした県政運営で果たして県民利益にかなうような戦略が2020年以降に具体的に示されるだろうか?地域間競争を勝ち抜けるだろうか?
そこがリーダー論を含んだ大きな問題点と考える。
2017年05月30日
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