東京電力福島第一原発事故で群馬県に避難した人や家族ら137人が国と東電に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が17日、前橋地裁であった。原道子裁判長は、東電と国のいずれについても責任を認め、62人に対し計3855万円を支払うよう命じた。判決は津波の到来について、東電は「実際に予見していた」と判断。非常用ディーゼル発電機の高台設置などをしていれば「事故は発生しなかった」と指摘した。国についても「予見可能だった」とし、規制権限を行使して東電にこれらの措置を講じさせていれば「事故を防ぐことは可能であった」とした。原告の主張をほぼ認める判決となった。
同様の訴訟は全国で約30件あり、約1万2千人が参加しているが、集団訴訟としては初めての判決。福島原発事故をめぐって、国の違法性についての初めての司法判断でもあり、国や東電の過失を認めるかが大きな争点だった。
原告側は、政府が2002年7月に発表した「長期評価」で、福島第一原発沖を含む日本海溝での地震の発生確率が「30年以内に20%程度」とされていた点を重視。東電が08年5月、福島第一原発に15・7メートルの津波が来るとの試算を得ていたことなども指摘し、「津波は予見でき、防潮堤建設などで事故は防げた」と主張していた。
東電や国は、長期評価や試算について「確立した知見ではなかった」などとして、津波の予見可能性を否定。実際の津波は想定をはるかに超える規模で、事故は防げなかったと反論していた。
(朝日新聞デジタル 2017年03月17日 16時01分)
この判決は極めて妥当な判決だと思う。
太平洋海岸際に位置する原子力発電所は建設された時点から、地震による津波の影響はゼロではないのだから備えは必要不可欠だったはずだ。特に国の原子力発電所の安全危機管理は無責任だったと言われても仕方がない。どうも国の原子力に政策に関しては立地から運営、管理に至るまで総合的な施策が貫かれていない。原子力発電所についても管理運営は電力会社に事実上任せきり(定期的な監査はするでしょうが)状態ではなかったのか。「確立した知見ではなかった」などは詭弁であり、国は福島原発事故にしっかり向き合い、事後の対策に万全を期すべきでと考える。
原発即廃止は技術的にもかなりの時間を要することであるから、この間に再生可能エネルギーの開発を進めたい。ただしエネルギー効率を考慮に入れることや自然環境の景観等の配慮は必要だ。太陽光発電を推奨している現在ゴマンと存在している業者がどこまで設置をしたものの廃棄まで責任を持てるかはかなり不透明と私は感じる。先の予算特別委員会でも県の条例化の方向性について基本的認識を質したが、県レベルとしては問題が発生していないだけに問題意識はまだ薄い。
国民生活に大きな影響を持つエネルギー問題。関係者の責任感と先見力が問われる。
2017年03月18日
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