二元代表制とはわが国の地方自治に設置されている統治システムであります。
戦後、地方自治法の成立により。首長も議会も別の直接選挙で選ばれ、互いの立場を尊重し補完しながら地方自治の発展を期する目的で採用され今日に至っています。よく催事の祝辞で首長と議会の代表である議長の二人が挨拶をするのは互いに異なる立場としての住民代表ということだからです。
一方、国は議院内閣制でありますから、地方自治と全くシステムは異なります。故に地方議会には厳密にいうと国会の与党と野党は存在しません。
首長が直接選挙で選ばれるのには理由があり、それはアメリカ合衆国大統領よりも強大な権限を有しているからです。例えば予算提案権、予算執行権、人事権などです。
地方自治は合議制で図るよりも首長の意向が反映しやすい所謂トップダウン方式で首長の見識や資質で行政を運営した方が行政の迅速化が図れることが利点としてあげられます。その反対に首長は地方公共団体という財政的に自立していない行政府の位置づけのために国や県からの影響を受け、住民の意向とは異なる政策判断をすることも時折散見されます。
そのような首長の暴走などを監視し修正を加えるなどをする機関として議会が存在します。但し議会には立法権はありますが予算の提案権がありませんから、致命的に首長との権限には格差が生じます。
議会が有している最大の権限は議決権ですが、首長は自らの政策が円滑に実行に移されるように自分の意向にそう議員を過半数確保した方がやりやすいことは明白です。一方議員も首長の権限の大きな傘に入った方が魅力に感ずる議員がいても不思議ではありません。しかし、これでは二元代表制の存在する意義を失ってしまいます。「知事が言うのだからいいじゃないか。」という不規則発言が以前議会であったのを記憶してますが、こんな理解不足の議員では困ります。
岩手県議会では議会としての存立が時代の波にのまれて変質しないように、二元代表制の機能を高めていくために「岩手県議会基本条例」を制定しました。私も策定の委員でありましたから、当時は制定に至るまでとことん議論を尽くしました。議員は基本条例の趣旨に従って活動するのは当然のことです。議会改革も不断に行うことも盛り込まれています。
一方、行政も二元代表制の趣旨に乗っ取った対応が求められます。例えば議会事務局の機能充実、特に議員立法に関して実務に明るい職員の配置などです。行政と議会が正々堂々と政策を戦わせ、切磋琢磨し、政策を磨くことが住民の幸福につながっていくと私は確信しています。
議員はもちろんのこと行政もよくよく二元代表制の趣旨を理解すべきでしょう。このまま調子に乗っていると大変なことになりますよ。
2017年01月28日
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