昨日は選挙後初の記者会見がトランプタワーで行われたが、貿易利益の不均衡を強調し、特定の記者を攻撃する姿は世界を牽引するリーダーの資質として疑問視される印象はまったく変わらない。米国民のみならず世界の人々が持っている行き先見えない心配をさらに深めたのではなかろうか。
一方、退任するオバマ大統領は「Yes!we can.」「Yes!we did.」で最後のスピーチを締めくくった。移民の子どもたちを大切にしなければ、我々の子どもたちの未来も損なうと多様性に富む社会の重要性を説いた。
8年前と4年前に近未来の理想の姿をアメリカ国民は熱狂的にオバマに託したが、結果的に理想と現実の間にオバマ大統領は常に悩み続けた印象だ。しかし、オバマが求め続けた理想を追求したことは決して無駄ではなかったと思う。理想を動かすシステムのスイッチがまだ形成されていなかったのではと思わせるのが、未だにアメリカの経済社会では想像もできない不文律があることは想像するに難くないことだ。いつかはこの壁も越えられると私は信じたい。

アメリカ国民は理想では動かない目に見える現実の変革を選択したが、果たして名指しでメディアを非難し、人種排他的なリーダーの下で普遍的な世界の秩序形成は可能なのだろうか。約200年前のモンロー主義にはヨーロッパの干渉から影響を受けないという孤立主義で当時としての理はあったが、トランプ氏の自国優先孤立主義は結局のところ回り回ってツケは自分に来るような気がしてならない。
オバマ氏は私と同じ55歳。トランプ氏は70歳。トランプ氏は未来に責任を持つ政策を果たしてつくれるだろうか。
いずれにしてもオバマさん、8年間お疲れさまでした。
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