ニューヨークヤンキースのロゴがでっかく入ったナップザックを背負っていたので、目についたのかもしれない。おそらくそのザックはお孫さんにでもプレゼントされたのではあるまいか。

両手には軍手をはめて野球帽。降車のタイミングを逃すまいとかなり早いタイミングででデッキの方まで歩いて行った。
そのお顔をじっくりと見ることはあえてしなかったが、彼の背中がこれまで歩んで来た人生の道程を語っているように見えた。まさに実直で誠実さが歩く仕草で十二分に感じ取れた。こんな先輩方が今の社会を築いてくれたんだ。妙に納得させて頂いた瞬間だった。
物質的には豊かになっても、心の豊かさはそれとは反比例の様相を呈する今の世の中。毎日のニュースには人と人との関係が希薄になったことが要因と思われる社会事件が報道されている。なんとも嘆かわしい。
敬老の日の祝辞には、ここ数年この問題点を指摘しているが、世の中のスピードが許さない状況にある。
戦後70年、国家の安全保障も重要な課題だが、こうした先人のご労苦と秩序ある社会をつくってくれた足跡もじっくり振り返る機会をつくり、学習し、将来のより佳き社会を目指したい。