時事通信 1月7日(水)19時0分配信
日本マクドナルドホールディングスは昨年7月、仕入れ先の中国の食品会社が消費期限切れ鶏肉を使用していた問題が発覚し、客離れを招いた。直近では売り上げは回復傾向にあるが、ナゲットなどへの異物混入で再び消費者の不安が膨らめば、復活が遠のくのは避けられない。
青木岳彦取締役は、足元の営業状況に関しては「現在、非常に大きな影響が出ている状況ではない」と説明する。ただ、今後については「お客さまの行動に影響を及ぼすと考えている」と、経営への打撃は避けられないとの認識を示した。
同社の既存店売上高は、期限切れ肉問題が発覚した後の昨年8月、前年同月比25.1%減と上場後最大のマイナスを記録。その後も売上高、客数ともに2桁を超える減少が続き、影響が長引いている。
昨年10月には、2014年12月期の業績予想を下方修正し、純損益は170億円の赤字に転落する見通しとした。異物問題が売り上げ回復に水を差し、客足が戻らなければ15年も赤字に陥る恐れもあり、信頼回復に向けた明確な手を打つことが急務だ。
安価な仕入れをするために、原料の海外からの調達を余儀なくされる大手ファーストフード。
コストの効率を追求すればするほど安全性が心もとなくなる。その負の図式が一気に露出してしまった。
口に入る食品の原料調達がマーケットとの距離が遠くなればなるほど、消費者の不安は大きくなるのではないか。この場面で大会社がどのような解決策を講じるか。見物である。
ある意味でファーストフードの対極にあるスローフード推進運動のチャンスでもある。
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