私は、毛沢東の文化大革命時に宗教が表舞台からは否定されて以来今日まで、中国民衆には宗教が根付いていないと思っていました。現に経済の急激な発展により拝金主義が幅を利かせ、いびつな社会構造が問題化しています。
番組では、キリスト教と儒教が急激にな中国社会へ浸透している様子が紹介されました。
貧富の差の拡大や繰り返される腐敗と汚職に失望し目的を失った高学歴層の悩み、金儲けにひた走った果てに行きついた家族の崩壊、病んだ心の隙間を埋めるために宗教団体へと救いの道を求める数多くの中国民衆の姿が映し出されました。
驚くなかれ、地方においては政府が暴動鎮圧のために宗教の力を利用している実例もありました。
ある意味、一部とはいえ、中国でこのような現象が起きていることに安堵感を覚えましたが、それが国全体として良心や思慮深い考えに基づく行動に結びつくかは、まだまだ長い年月がかかると思われます。
政治においては、共産党一党支配の国ですから、経済の発展が急激に停滞した時に、どのような対応をするのか、多くの国民に宗教が根付いた時にどういう変化が起きるのか、国民の心が宗教を通じて大きく変化していることで中国の激動はすでに入口から出口へと音を立てて動き出していると実感させられた番組でした。
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