2013年08月27日

80年代にアメリカ合衆国で大型加速器計画が存在した

今後、日本政府がILCを正式決定するかどうかが課題です。
建設費と運営費をどのように賄うのかが直接的な課題となっており、今後行われる予定である政府間協議が重要な局面になります。

さて、決して話の腰を折る目的ではありませんが、過去に大型プロジェクトが頓挫した事実をILC実現のために教訓として認識しておくためにSSC(Superconducting Super Collider)について知っておく必要がありますので紹介します。

世界最大の加速器は、スイス・ジュネーブ郊外にフランスとの国境をまたいで設置されているCERN(欧州原子核研究機構)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)です。全周 27km を誇り、今も多くの研究が行われ、昨年の7月にはヒッグス粒子が発見されています。

しかし、アメリカのテキサス州にはそれを上回る大型加速器の建設計画があり、実際にこの建設計画は着工にまで至っていました。
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1980年代中頃、アメリカは世界最大の粒子加速器の建設を目論んでいました。
その名も「超伝導超大型加速器(SSC)」です。

リング周長約86.6kmという空前の規模であり、当初44億ドルが資金として投入されることが決まり、1991年にはテキサス州にて建設が始まりました。

しかし、1993年には建設計画の試算が120億ドルを超える事態になったのです。この時アメリカ政府は同時に国際宇宙ステーション(ISS)の予算の工面に苦悩しており、SSCとISSのどちらかを諦めざるを得ませんでした。クリントン政権下時代に結局議会によってISSの方に軍配が上がり、SSCの建設は頓挫する結果になったのです。

計画が中止された時点で、既に22.5kmもの長さのトンネルが掘られており、20億ドルの予算を失っていました。

どうにかしてこの施設を売却できないかと様々な試みがありましたが、結局どれもうまく行かず、施設と長大な地下トンネルは今も放棄されたまま残っています。


世界最大の大型加速器は廃止された

私が昨年秋にCERNを訪問した際に、ご案内を頂いた近藤名誉教授は、このSSC計画に関わっておられたそうで、当時日本からの資金援助計画も存在したそうです。

ただ、ILCとSSCの比較において決定的に異なるのは、アメリカは一国単独でSSC計画を進めようとしたのに対してILCは国際機関で進められる形態であることです。

すでに、今年の2月に世界のリニアコライダー活動を率いる新組織LCCが正式発足をしており、ILCともう一つの加速器CLICをひとつにまとめ、独自に研究開発を進めていた研究グループが協力体制を組んでいます。LCCのディレクターは先の国内候補地選定発表の際にコメントを寄せたリン・エバンス氏です。

CERNがLHC等の加速器を使用して50年以上にわたり研究を継続可能にした大きな要因は、CERNの加盟国が応分負担を約束したことにあり、ILCに正式決定に関しても国際機構が、極東に位置する加速器の運用に応分負担を確実に担保できるかどうかが焦点となりそうです。

中途で頓挫したSSCと同様なことはがILCで起こる可能性は極めて考えられませんが、ILC計画についての進行管理は住民との共通理解の下に確実に行われる必要があります。
posted by 飯沢ただし at 23:46| 岩手 ☀| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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