インドネシアのスラバヤで行われていたTPP交渉参加11カ国は日本の交渉参加を承認した。
これを踏まえて、アメリカ合衆国政府は今月中にも議会に日本のTPP参加を通知するとされており、承認されれば7月下旬の次の会合から日本は参加可能となる見通しとされる。
日本政府は7月下旬の期限を何としてもクリアしたいがために事前協議で自動車分野で大幅な譲歩をし、農林水産分野の主要5品目などの「聖域」を確保するための最大の交渉カードを交渉入り前に失っているとの論評が目につく。
「交渉テーブルに付かねばルール作りに参加できない。」これも一理があることを認めるが、すべてはこれからの交渉次第。過去の国際交渉の事例から見てもタフな交渉にどれだけ耐えられるか不安はぬぐえない。
関税撤廃の例外をコメ、麦、乳製品、牛肉・豚肉、サトウキビやてんさいなどの品目で求めているが、通常のFTA交渉の例外品目は1%程度にあるのに対して、例外品目の5品目をすべて例外化すると全体の6%にもなる見込みだ。
現状の関税率と輸入割合は、
コメの関税率は778%で輸入割合は9%
脱脂分乳の関税率は218%で輸入割合は5%
バターの関税率は360%で輸入割合は0.4%
上記の数字を見ただけで国内生産に影響がどれほどのものになるか想像できよう。
関税だけでなく、国内生産においては農業就業者の高齢化も著しい。このような生産基盤を大きく揺るがす問題を、「農業所得を2倍に」などと簡単に政策を言って欲しくない。
これからの交渉過程については、生産者に対して信義を失わないような丁寧な説明が求められるのはもちろんのこと、撤退も視野に入れた交渉力が不可欠と考える。
2013年04月21日
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