城山三郎の「賢人たちの世」を読んだ。
内容は「政界の三賢人」と称された、椎名悦三郎、前尾繁三郎、灘尾幸吉の共に時代を生きたノンフィクション小説である。
椎名悦三郎氏の秘書であった地域政党いわての亀卦川富夫氏も実名で出ている。
椎名悦三郎氏については伝聞でしか知らなかったので、大変興味深く読んだ。
「省事」「同極異路」
好んで使われた言葉で本人の生き方の輪郭が見えてくる。
副総裁時に、日中国交正常化前に特使として台湾に派遣され、サンドバッグのように打たれて耐えた困難な任務、日韓条約締結時のタフな交渉の様子がビンビンと伝わってくる。
悦三郎氏は派閥中心の党運営の限界を早くから見抜き、党の近代化に尽力されたことは新鮮な発見であった。
党の近代化は政治家を志したときからの初心であるばかりでなく、叔父後藤新平から引き継いだ精神であったことも。
政党の体質が立派でないと、政治の信頼は得られない。
省みて、今の政党政治はその頃から発展しているであろうか。
選挙目当ての政党の離合集散。政治の信頼とは程遠い。
先人から学ぶことはとても多い。
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