トヨタとダイムラー、商用車提携 日野自・三菱ふそう統合
【日本経済新聞電子版 2023年5月30日 16:31 (2023年5月30日 20:06更新) 】
トヨタ自動車と独ダイムラートラックは30日、商用車分野で提携すると発表した。トヨタ傘下の日野自動車とダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスを統合し、電動化や自動運転など「CASE」技術を共同開発する。日野自はエンジン排ガス不正で国内出荷を停止し環境は厳しい。脱炭素の技術対応のハードルが上がるなか、商用車での提携が加速しそうだ。
4社が基本合意した。トヨタとダイムラーが株式公開を目指す持ち株会社を2024年12月までに設立し、日野自と三菱ふそうが傘下に入る。トヨタとダイムラーの持ち株会社への出資比率は同じ割合とし、統合後に日野自はトヨタの連結子会社から外れる。
S&Pグローバルモビリティの調査によると、2021年のダイムラーの中大型トラックの販売台数は約36万5000台で世界2位。日野自は小型トラックやバスを含めて15万台(22年3月期)で、中大型トラックの分野では世界最大手規模の連合になる。
今回の統合で日本のトラックメーカーは日野自動車と三菱ふそう、いすゞ自動車とUDトラックスの2陣営に集約される。30日に記者会見したトヨタの佐藤恒治社長は「規模のメリットがある。いすゞ・UDとシェアが同等になる」と話した。ダイムラートラックのマーティン・ダウム最高経営責任者(CEO)は「真の国内トップ企業をつくることは、強固な製品ラインアップをつくることにつながる」と述べた。
4社は商用車の開発や調達、生産分野で協業し、CASE技術の開発のほか、水素分野でも協力する。重量が大きい大型トラックは電動化が乗用車より難しい。ダウム氏は「自動車業界の変革で同時に複数の新技術への投資が必要。規模がカギを握る」と強調した。
佐藤氏は「CASE時代を生き抜くには日本の商用車事業は世界と比べて規模が小さく、各社が単独で戦うことは難しい状況だ」と語り、「競争のみならず、みんなで力を合わせていくことが求められる」と話した。
商用車業界では電動化を含む次世代技術「CASE」への対応で合従連衡が相次いでいる。19年にいすゞがUDの買収を発表し、21年にトヨタといすゞが資本提携した。
トヨタと日野自、いすゞは商用車を開発するコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)を共同出資で設立。その後スズキとダイハツ工業が参加し、不正が発覚した日野自は除名された。
昨日、ビッグニュースが飛び込んできた。
ちょうど当社に月末の集金に来ていた日野の所長も寝耳に水の状態。
「CASE」技術の対応のためとは言っているが、実際、昨年の不正問題で日野は未だにすべてのエンジンの登録認証を得ていない状況にあり、今後の生産体制を完全復帰までには時間を要することが大きな要因と業界の方は分析している。
統合の目的は、トヨタの経営に大きな影響が出ないうちに別の舵を切ったということだろう。
いすゞとUDトラックも経営統合がすでにされているが、末端のディーラーは地域で対応が異なっている。今回の統合もしばらくは時間を要することが予想されるうえ、最終的には大型商用トラックが順調に出荷されるようになれば、新たな展開が出てくるに違いない。いずれにしても資本提携、急激な技術対応と商用車業界は大きな波に乗らざるをえなくなった。