中国ゼロコロナ機能不全を露呈 経済犠牲でも感染者最高
【日本経済新聞電子版 2022年11月27日 22:37 】
新型コロナウイルスを徹底的に封じ込めるゼロコロナ政策による経済面での打撃は甚大だ。野村国際の陸挺・中国首席エコノミストらは24日のリポートで国内総生産(GDP)の増加率の予想を2022年は従来の2.9%から2.8%に、23年は4.3%から4.0%に下方修正した。
米欧や東南アジアなど新型コロナ関連の規制を緩めた国や地域の多くは経済が回復局面だが、中国は低迷したままだ。
共産党メディア・環球時報の元編集長、胡錫進氏は25日、SNS(交流サイト)で「新疆ウイグル自治区のウルムチ市は長期間、封鎖された。これは不合理で、人間が耐えられる限度を超えていた。住民らは防疫に対して怒りを示した」と言及した。抗議行動に一定の理解を示した形だ。
東北部の大連市にあるホテルは、封鎖措置などを受けて毎年1000万元(約2億円)規模の損失を出した。男性幹部は「とにかくゼロコロナ政策を早く緩和してほしい」と、日本経済新聞の取材に漏らした。
中国政府は抗議行動を巡る報道を禁止し、国内のSNSでは投稿や動画を相次ぎ削除している。
中国の国内主要都市では一部政権批判も含めた集団抗議活動が起こっており、当局は取り締まりを強化しているとも報道されている。
ゼロに封じ込めるというのは一見聞こえがいいが、もはや物理的に不可能であることは明白だ。
重症化リスクが減っているというオミクロン株の性質を分析すればウィズコロナで進めることは合理的であり、これは米国はじめ西欧諸国でもすでに実行していることなのだが、そうは簡単に引き下がれないのがお国の事情なのなのだろう。中途半端に緩和すれば党の面子は丸つぶれ、このままゼロコロナを進めれば国民の不満は募る一方という図式である。
やはり物事は人間の都合ではなく科学的に思考することが重要という典型例である。