岩手・達増知事の手腕、6割超が評価
<任期残り1年・首長アンケート(上)>
【河北新報 9/9(金) 16:00配信】
達増拓也岩手県知事は、4期目の任期満了まで10日で残り1年となる。河北新報社は県内の33市町村長を対象に、達増知事の県政運営についてアンケートを実施した。県政運営全般で6割超の首長が評価した。新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災からの復興などの手腕に合格点を与える一方、経済対策を巡っては評価が二分。人口減少対策や漁業振興では批判的な意見が目立った。
県政運営全般については「評価する」が4人、「どちらかといえば評価する」が12人で、計16人(64・0%)が評価した。「あまり評価しない」は9人(36・0%)で「評価しない」はいなかった。
評価した首長からは「震災や新型コロナ禍への対応などの課題に適切に対応した」「当初の目標をぶれずに遂行している」といった意見があった。評価しない首長は「躍動感に欠け、期待感が湧いてこない」「国とのパイプが少ないため岩手は遅れている」などと指摘した。
個別政策への評価は8項目を尋ねた。新型コロナ対策は計21人(84・0%)が「評価する」「どちらかといえば評価する」と回答。ある首長は「県民に情報発信しながら一定の成果を挙げた」と理由を記した。
コロナ禍の経済対策につて評価したのは計15人(60・0%)。評価しなかった計10人(40・0%)からは「事業者支援の分野で、市町村補助への上乗せメニューがあってよかった」などの意見が寄せられた。
震災復興対応は計18人(72・0%)が評価。昨年12月に全線開通した三陸沿岸道を生かした振興策の必要性を強調している。
人口減少対策に関しては「あまり評価しない」「評価しない」が計17人(68・0%)に上った。「県からの行動が見えない」「効果が県央部、県南部に集中している」などの批判が目立った。評価した首長の一人も「子育て、教育支援や移住定住に向けた施策をさらに強化すべきだ」と県のリーダーシップを求めた。
沿岸部12市町村の首長には漁業振興についても尋ね、10人から回答を得た。このうち評価しない側の首長は計8人に上った。
自由記述では「主要魚種不漁の中、施策が現状に対応したものとは言い難い」「エサ不足解消、藻場再生、秋サケの資源回復の支援にすぐに取り組んでほしい」などと指摘。多くが積極的な不漁対策を望んだ。
先週末から河北新報社が特集を組んで首長への達増知事へのアンケート調査を掲載している。これらの記事から自分なりの分析を上下2回にわたって付け加えてみようと思う。
まず印象的なのは、現職知事の実績に対するアンケートでこれだけ批判的なものがストレートに回答しているのは過去に例を見ないのではないかという点。県の対応も考慮に入れてなるべく波風立てないのが首長の振る舞いとしては普通なのだが・・・
人口減対策は三分の二が評価しないというのは無策に近いということ。漁業振興に関しては80%が評価しないはかなり厳しい。
評価が比較的高かった震災復興やコロナ対策については政府の手厚い復興対策や交付金があった背景もある。決して県独自の施策が評価の対象となっていないことは含んでおく必要がある。
しかし、「躍動感に欠け、期待感が湧いてこない」「国とのパイプが少ないため岩手は遅れている」の自由記述は私が常に早朝街頭宣伝にて発している内容と全く同じで、首長の表現としては私は今までこんなに厳しいのは目にしたことがない。
33市町村中25自治体が回答しているが、回答しなかった自治体には今秋の会派ヒアリングで吟味してお聞きをしたいところだ。この記事を担当した記者から聞いたところによると速攻回答した首長もあったそういで、県政に関しての思いが強まっていることを感じた次第である。
明日に続く。