2022年02月22日

大型貨物の輸出全盛時代

昨年同時期に引き続き三井倉庫時代に担当したUASCの本船について記しておきます。

本人の備忘録程度なので興味のない方は軽く流してもらって結構です😵

ネット社会もかなり成熟してきたので、何の気なしにUASC「K」CLASSと検索してみましたら、出てきました!Kクラスの全ての全船名リストが!なおかつ造船所と廃船日まで記載されていました。35年ぶりの汗の記憶が蘇ります。

UASCは「UNITED ARAB Shipping Company」の略で,その前身は「Kuwait Shipping Company」という船会社になります。

推察するにクウエート国内だけの資本で経営していましたが、ペルシアンガルフ周辺国の石油開発が旺盛になり各々の国において近代的な石油プラント設置の必要性が出てきて、そこにプラント輸出の大きな波が現れたわけです。日本も三井物産が手掛けた(最後はイランーイラク戦争の影響で未完成で終わる)IJPCという大きなプロジェクトがありました。

そこで1974年から78年までにKuwait ShippinngとUASCはプラント輸出に適応する100tの重量物を揚力できる大型デリックを備え、船腹も増大したKクラス(クェートのKを冠した)を大量投入したという図式と見ました。オイルマネーをふんだんに活かした大型投資です。

前回のブログで30隻と書きましたが、今回のリストで43隻もあったことが判明しました。

私が知らない本船も存在したことが明らかになりました。「BLOCKS」「QAROUG」「DANAH」の3隻。

danahxx.jpg


本船「DANAH」の画像がありました。韓国の造船所で製造された最後の3隻のうちの一隻で、私が横浜にいた4年間で一度も日本に来た記憶がないのでヨーロッパ航路専属だったのでしょう。

そして、新たな事実が判明しました。

私も乗船して働いたことのある本船「IBN AL BEITER」号は1986年12月23日にペルシャ湾を航行中に対空ミサイルの被弾を受けて沈没した。となっていました。私は当時在職中でしたが全くその事実は知りませんでした。船会社にとってもいい話ではないので外部にはあまり知らされなかったのかもしれません。

ibn al beiterxxx.jpg

【かつての本船イブンアルベイター号の雄姿】


昭和から平成になって重量物の輸出などほとんどなくなり、貨物船はほとんどがコンテナ船に変わりました。令和の時代に入るとコロナ禍の影響でコンテナの流通が滞り、船の運賃はうなぎのぼりに上がっています。こんなことは誰が予想できたでしょうか。まさに経済は生き物。

大型投資をした「K」CLASSの船たちも21世紀の声を聞くと同時に廃船となりました。実働四半世紀。アラビア諸国の砂漠に火を灯した功績を残し、魂となった船たちは今の世をどのように見ているでしょうか。
posted by 飯沢ただし at 23:52| 岩手 ☁| Comment(0) | Good Old Vessels【懐かしの船】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする