一週間前に行われた定例記者会見では衆議院選挙に関する質問が集中しました。その後一部報道に対して達増知事が個人のツイッターで粘着ツイートを繰り返すなどの行動が出ています。
残念ながら地元紙ではこうした政治的に絡むやり取りを積極的に報道しませんので、私の個人的な解説を含めて県民読者の皆さんに知事の言動についてこの場で紹介いたします。このことは県政をけん制するトップリーダーの資質に係る重要な問題と捉えていますので県民に知らしめておく必要があると判断に至ったものです。
記者
まず、岩手1区の関係で、知事、これまで「スター・ウォーズ」に例えて、最終的に岩手1区の構図を、選挙が終わればハッピーエンドになるというふうにおっしゃっていたと思うのですけれども、実際に選挙が終わって、どのように、「スター・ウォーズ」風なのか分かりませんけれども、見ていらっしゃるのか教えてください。
知事
ドラマチックではない展開になってしまったと思っております。なかなかそういう夢や希望を描いたドラマに例えられない状況かと思っていますけれども、もともと2年前の国民民主党と自由党が合流するときに、それに強く反対し、岩手県内においても、また党本部での会議においても大立ち回りと言っていいような反対運動を展開した方が、合流が決まった後、そこに参加せず無所属になってしまって、翌年、去年のことになりますけれども、その国民民主党が今度は立憲民主党と合流するというときに、無所属からその枠組みの中に入り、大きくなった新しい立憲民主党執行部がその無所属の人を1年前の岩手県における経緯、あるいは国民民主党と自由党が合流するときの経緯というのをよく踏まえないで、問答無用で岩手1区公認にしたというところが問題のスタートであり、それで衆院選が機能するはずがないということだったと思います。結果、立憲民主党の執行部、代表、幹事長は辞任ということで、それは岩手1区に関しても責任を取られたというように受け止めます。
これは達増知事が自ら発掘した佐野氏が1区における立憲民主党の公認になれなかったことがこの発言の要因となっているのですが、当選した階氏に対する冒涜とも受け取れる発言です。すなわち階氏にはあなたは公認を受ける人物ではなかったのに当選したとも言わんばかりの利己的な発言です。ご本人が意向が反映されない=ドラマチックではないは階氏へ投票した有権者への侮辱ではないでしょうか。
佐野氏をそこまで押すのであれば、スターウォーズを引用して弟子とまで断言した経緯もあり、どちらが正当な主張があるのか、選挙で有権者に諮ればよかったものを、それもしないで後から非難するのはとても公人の発言とは思えません。
記者
小沢さんが岩手3区で、小選挙区で初めて敗れるという事態で、各社、小沢王国の崩壊というようなタイトルだったり、小沢王国の陰りだったりとか、そういういろんな連載を書いている中で、来年の参院選にも向けて野党共闘の動きというのは注目が集まると思うのですけれども、その辺り、小沢さんの今回の小選挙区での落選というのはどのように影響していくとお考えでしょうか。
知事
今回の衆院選では、岩手1区のこともあり、岩手県連として1区、2区、3区、共通する野党共闘の形というものをつくれなかったということが3区の結果にも影響していると思いますので、枝野代表、福山幹事長の辞任というのは、そのことに対する責任も取った形になっているのだと思います。
あと、政権交代より世代交代というスローガンがとてもはやったというのでしょうか、そういう報道があるのですけれども、政権交代を否定して同じ政党の政権が続き、そして、地方が国に従属する中で、地方のことを国にあっせん、口利きして、それで当選を重ねて偉くなっていくという、そういう古い政治をさらに人を替えて続けていくということは、これは基本的に民主主義を損なうことでありまして、そのことについて11万(票)対10万(票)ということなのですが、果たして11万人の票がみんなそれに賛成していたのか。少なくとも10万人はそれに賛成しなかったわけで、やはり岩手県というところは1区、2区、3区それぞれ政治家個人のキャリアの問題、当選する、しないに始まって当選し続けるかというような、そういうキャリアの問題よりも、政権交代可能な健全な政党政治を日本にきちんとつくるとか、日本全体の政治の構造を変えて、そして、結局地方が中央に従属しないで、国の指図なしで自由に地方が予算を使えるような地方分権とか、それを支える地方経済の活性化とか、そのようなことをずっと求めてきたわけで、まず枝野、福山執行部が野党共闘でそういう日本を目指すということをはっきりアピールできなかったということ、そして、岩手県においてもそこが争点、岩手から日本の政治を変えるということが争点なので、個々の政治家の運命なんて二の次みたいなことが徹底しなかったということが本質ではないかと思いますので、そういう中で立憲民主党も代表、幹事長の交代から始まって体制を立て直し、各都道府県の体制も立ち直っていくでありましょうから、そういう中で本来アピールすべきことをアピールできるようになることを期待しますし、あとは自民党さんに対しても、まず地方が国に従属し続けるようでは駄目なので、古い利益誘導で議員が当選を重ねて偉くなるというような政治は、やっぱりこれはやめてもらわなければ困るということを言いたいですし、あと、そもそも県議会でよく議論になっているわけですが、行政は中立、行政のトップを直接選ぶ知事選挙、間接的に選ぶ国政選挙。選挙は政治的なプロセスですけれども、選ばれたトップの下で、行政は国も地方も公正中立に行われなければならず、そういう公正中立な国と地方の公務員同士のやり取りの中で、どこに道路を造るとか、どういうインフラを整備するとか、産業振興はどのようにやっていくとかということが決まるのが法律の下での民主主義であって、政治家がその中で口を利いて、それでものが動くというようであっては、それはやはり民主主義を損なうものなわけです。
ですから、今回の衆院選は、岩手もですけれども、全国的に何かそういう古い政治の在り方こそが日本の政治で、その中で地方の発展も目指さなければならないみたいな調子が広がったようなのですけれども、多数を得た与党になる側に対しては、やっぱりそうではない日本をつくる責任ということを感じてやってほしいなと思います。
3区の小沢氏の落選結果には直接語らず、党本部の取り組みの悪さに責任を被せています。あまつさえ当選した藤原陣営がスローガンで掲げていた「政権交代より世代交代」にかみつき「政権交代より」という部分に執着し、自民党政治の悪い部分に連想を加えています。この発言は藤原氏を支持した3区の有権者を貶める発言とも言えます。常々達増知事は有権者の選択を重視すると言いながら、意に沿わない結果については容認しないとは極めて大人げないと言えるしょう。
記者
小沢さんが今回、小選挙区で負けたことで、後継者の話題などが上がっているのですけれども、知事としては小沢さんの後継者についてどのようにお考えかお聞かせください。
知事
あまりに候補者の側を主役にするような物の見方や言説が多過ぎるなと思っているのですけれども、有権者が主役という視点から考えれば、岩手3区、旧4区とか、旧岩手2区、中選挙区の時代から、普段、地元にいなくても国政の中心にあって、日本を変えるというような、原敬さんがやっていたようなことを、現代において日本で行うような政治家が岩手から出ていってほしいという有権者の思いというものが大きいと思っています。そういう有権者の思いに応えるためには、さあ、どうしましょうかということだと思います。
勝った負けたとかと言いますけれども、それも実は言葉のあやであって、有権者の意思決定として、今回の選挙では、選挙区からはこの人を議員にし、比例区からはこの人を議員にするという、有権者の決定が行われたという、その有権者の決定については、これは勝ったも負けたもない話でありまして、有権者のそういう決定に基づいて、有権者が何を思ってそのような決定をしたかという民意を量りながら、今後、民意を実現していくように動けばいいと。そういう中で政治家たちが、では何をするかを決めていくのだと思います。
ご覧のように上記の発言とは矛盾しています。実際この部分は何を語っているのか理解に苦しみます。
記者
ありがとうございます。もう一点、岩手1区のことで、佐野さんの擁立が明らかになった今年の8月の時点で、知事の会見でも佐野さんについて取り上げられて、ちょっとニュアンスが違えば訂正していただきたいのですけれども、知事になる前に1区を戦ってこられた、1区の代表だった達増知事の事実上の後継が佐野さんだという受け止めをしていたのですが、今回、1区自体に立候補することもできなかったわけですが、知事は国政へのご自身の挑戦ということをどう考えているのかというのを、あらためてお聞きしたいと思います。
知事
オリンピック前の段階というのは、結構、日本全体として政権交代までいってしまうのではないかと、選挙で菅政権はもう終わりになって、政権交代もあるかもしれないということも言われるくらいの状況だったと思うのです。それを前提にしていくと、「スター・ウォーズ」のようなビジョンが描けたわけですけれども、その後そうならなくなってしまって、今は「スター・ウォーズ」とは違う現実になっているわけであります。だから、そのときと今はもう全然話が違うと考えていただいていいと思います。
記者
そうしますと、国政についても、あるいは2年後にある知事選についても、今の時点では知事は白紙というか、白紙状態という、そんな受け止めでいいのでしょうか。
知事
そうですね。今日のところはやっぱり強調したいのは、有権者、国民こそが主役、県であれば県民が主役ですので、国民や県民が今回の選挙では非常に歴史的な決定ができたと思えるような選挙を次の参院選や知事選、県議選、統一地方選などでつくっていくという、その体制づくりが、そのようにしようとする側にはまず求められるというように言っておきたいと思います。
スターウォーズのようなビジョンって何なんでしょうか?県政もSF思想の一環ですかと言いたくなります。
政治の師と仰ぐ小沢氏が小選挙区で落選してしまい心の動揺はあるのでしょうが、県政のトップとしての見識を示す場の記者会見であからさまにこのような偏った発言することは県民利益に反映するとは思えません。