雇用保険料引き上げ、22年度にも 雇調金増大で財源不足
【日本経済新聞電子版 2021年7月28日 2:00 (2021年7月28日 8:17更新) 】
厚生労働省は雇用保険の保険料率を引き上げる検討に入る。新型コロナウイルス感染拡大で雇用調整助成金の給付が増え、財源が逼迫しているためだ。国費投入のほか、企業や働く人の負担も増える。フリーランスの働き手の拡大など、働き方が多様化する中で財源の確保策とともに、雇用の安全網をどういう中身にしていくかも課題となっている。
新型コロナ禍で雇用安定の事業の一部である雇調金の給付が急増した。企業が労働者に支払う休業手当を助成するもので、新型コロナ禍で支給要件緩和や助成拡充の特例を設けた。2020年3月以降の支給決定額は4兆円超になった。
財源が不足し国の一般会計から約1兆1千億円を繰り入れ、失業者向け事業の積立金からも約1兆7千億円を借りた。この積立金は新型コロナ禍前の19年度に約4兆5千億円あった。21年度に約1700億円に減る見通しだ。
上げ幅は給付の対象者数や経済状況を勘案して決める。負担増になるだけに雇用保険全体の役割の見直しも課題となる。
新型コロナ禍で雇調金は雇用維持に一定の効果が出ているが、休業手当を補う内容のため、人手があまる業界に働き手がとどまりかねない。長引けば労働市場の調整機能がゆがむ面もある。人手が必要な成長分野への移動が起きるよう学び直しの機会を増やす必要がある。
雇用保険の対象にならないフリーランスの働き手の経済危機時の対応をどうするかなど、日本社会で働き方が変わる中、雇用のセーフティーネットを巡る課題は多い。
財源を巡っても、雇用安定・能力開発の財源は企業のみが負担しており、経団連などは国の一般会計の負担拡充を求めてきた。英国やドイツは失業給付を労使の保険料収入でまかなう。欧州では雇用支援の多くを国費で支える国もある。
日本政府も国費投入などで21年度は雇調金で約1兆2千億円分を確保する。4月からの約4カ月で支給額は8千億円を超えた。この規模の支出が続くと21年度末までの財源が足りず、緊急措置として一般会計からの追加投入を視野に入れる。
料率見直しは労使代表者と有識者らでつくる労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で秋にも具体的な議論に着手する。22年の通常国会にも雇用保険法改正案を提出する。
こんな状況で雇用保険料を引き上げなんてとんでもない話である。企業側は働き方改革等で人権費のコスト高になっておりそんな余裕はない。
雇用のセーフティーネットに関しては国の労働施策とともに国費で賄うのが筋と思う。
軽油引き取り税もそうだが取りやすいところから取るという安易な税制には徹底して異を唱えていく。中小企業振興はどうなっているのか!