【共同通信電子版 5/9(日) 15:34】
国産の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を手掛ける製薬ベンチャーのアンジェスと大手の塩野義製薬は9日、変異株に合わせたワクチン開発にも着手したことを横浜市で開かれた日本感染症学会学術講演会で明らかにした。変異がある南アフリカ株などでは従来ワクチンの効果が弱まる可能性が指摘されている。
アンジェスはウイルスの遺伝情報を生かしたDNAワクチンを開発中。既に進めているものとは別に、南アフリカ株やブラジル株に対応できるワクチン候補の検討に入った。
塩野義製薬は組み換えタンパクワクチンを開発中で、どんな物質を投与すれば変異株への免疫がつくかを調べ始めた。

必然だったワクチン敗戦 不作為30年、民のはしご外す
【日本経済新聞電子版 2021年5月9日 5:30 】
世界がワクチン争奪戦を繰り広げている中で、国産ワクチンはひとつも承認されていない。この原因は予防接種の副作用訴訟で92年に東京高裁が国に賠償を命じる判決を出したのが要因となり、94年に予防接種法が改正され接種は努力義務となった。よって副作用を恐れる保護者の判断などで接種率はみるみる下がっていった。さらに薬害エイズ問題が影を落とす。厚労省、農水省、文科省をまたぐ規制は複雑で、遺伝子組み換え実験は生態系の影響を防ぐ「カルタヘナ法」に縛られる。欧州は医薬品を同法の適用除外とし、米国は批准もしていない。
国産の開発が遅れている原因は上記の解説のとおり。しかし、コロナ感染症の収束にはワクチン接種が必要だ。すでにワクチン接種で功を奏している英国ではすでに一般の海外渡航も検討しはじめている。遅きに失している感があるが政府は国産開発に支援に力をいれるべきだ。