デジタル庁創設へ基本方針 年内に、首相指示
【日本経済新聞電子版 2020/9/23 11:11】
政府は23日、首相官邸で菅政権の看板政策、デジタル改革に関する関係閣僚会議を開いた。菅義偉首相は行政のデジタル化をけん引する「デジタル庁」創設に向けた基本方針を年内にまとめるよう指示した。2021年1月に召集する通常国会に必要な関連法案を提出する方針も明言した。
首相はデジタル庁について「官民問わず能力が高い人材が集まって社会全体のデジタル化をリードする組織にする必要がある」と語った。「そのための検討を加速し年末には基本方針を定め、次の通常国会に必要な法案を提出したい」と発言した。
デジタル庁には各省庁にある関連組織を一元化し強力な司令塔機能を持たせる。新型コロナウイルス禍で露呈した行政手続きの遅さや連携不足に対応する。1人当たり10万円の現金給付では地方自治体が振込口座を確認する作業などに手間取り、給付が遅れる一因と指摘された。
各府省庁のシステムの一括調達を進めてデータ様式を統一していく。省庁間だけでなく地方の自治体や行政機関の間でもスムーズにデータをやりとりし、行政手続き全般を迅速にする。予算要求も一元化する。
デジタル庁の法整備を巡っては、内閣府設置法を改正して設置する案がある。強い権限をもつ司令塔として機能させるために他省庁との横並びを避け、首相直轄組織にする新法制定も検討する。
首相は政府のIT(情報技術)政策全体の基本方針を示すIT基本法も全面改正する予定だと言明した。政府のIT戦略のトップである内閣情報通信政策監(政府CIO)の立場を強化する。同法の抜本見直しは00年の成立後で初めてとなる。
菅政権は行政のデジタル化を進める重要な手段としてマイナンバーカードをあげる。普及促進に向けて健康保険証や運転免許証など個人を識別する規格の統合をめざす。カード1枚で行政手続きが済むよう改善する戦略を実行する組織にする。
以前にこのブログにおいてもDX(デジタルトランスフォーメション)の遅れがこのコロナ禍によって浮き彫りにされたと取りあげたが、菅(すが)政権はデジタル庁の創設に大きな重きを置いていることは評価できる。ぜひとも社会に有益な改革となることを期待したい。
デジタルコミニティーズについて私は県議1期目の2回目の一般質問で取り上げた。今から20年近く前になる。当時は岩手県では情報ハイウェイを整備してようやく行政もデジタル化に取り組み始めた頃だった。あれから部分的に情報技術は格段に進歩しているが、社会全体でメリットを創り上げるまでには至らなかったというのがデジタル庁の創設ということだろう。
ただ、マイナンバーカードの普及促進については個人情報の漏洩など細心の対策に腐心せねばならない。アメリカ合衆国の複数の自治体ではあえて採用しないと法律で定めたとも聞く。情報の集中管理を進めれば進めるほど個人の自由が奪いかねられない。中華人民共和国が行っているような所得や思想まで国家で把握されて管理して利用されては本末転倒である。
この点は大いに国会で議論されるべきである。