コロナ対策、各自治体に指標 地域ごとに対応しやすく
空き病床数や高齢者の感染割合 政府検討
【2020/7/27 23:30 (2020/7/28 5:26更新)日本経済新聞 電子版】
政府は地方自治体が新型コロナウイルス対策に踏み切る際の判断基準をつくる。空き病床数や高齢者の感染数など、医療の逼迫が分かる指標を今夏に示す。指標を上回れば自治体が営業自粛の要請などを出す。国が基準を示せば自治体が独自に判断する必要がなくなり、迅速に対応できる。
欧州では全国一律の外出制限などが経済活動を停滞させた教訓から、最近は地域限定で制限をしている。感染拡大と経済再開の両立を目指す日本も、世界的な潮流に合わせて地域ごとの対応に軸足を移す。
政府の新型コロナ対策分科会で基準を検討する。医療の逼迫度合いをみるため入院患者数を病床確保数で割る「病床占有率」が有力候補に挙がっている。直近は約49%で重症者向けは18%だ。4月には92%に達していた。
重症化しやすい60歳以上の高齢者の感染割合も指標にする見通しだ。東京都は26日までの1週間で60歳代以上の感染者の割合が9.5%、4月の感染ピーク時は29.7%だった。軽症者向けの宿泊療養施設の占有率を指標に加える案もある。
政府が事前に示す数値に達した際は各都道府県が対策を実施する。具体策として政府は緊急事態宣言がなくてもできる措置を明示する予定だ。「夜の街」や酒を提供する飲食店向けが軸になる。
まず特措法24条に基づき、自治体がそうした店に営業時間の短縮を要請できるとの見解を示す。既に個別の店舗単位で休業要請を出せる、との方針も公表した。宣言時にできる休業指示や店舗名の公表は認めない。対策をとらずに感染者を出した店舗は感染症法に基づき、保健所が店名を公表する。感染症法や建築物衛生法に規定される立ち入り検査や立ち入り制限もできるようにして、感染症法で定める立ち入り制限に応じなければ50万円以下の罰金を科す見通し。内閣法制局と協議して、近く正式な法解釈を示す方針だ。
自治体からは休業要請の実効性をあげるため、国の支援を求める声が強い。政府は休業要請に協力した店舗などへの協力金の財源として、各自治体へ財政支援を検討する必要がありそうだ。全国知事会は27日、緊急事態宣言を市区町村単位で発令できるよう求めた。地域別に細かく対応ができるようにしてほしいと求める声は根強い。
要は地方では東京アラートなどの宣言を出しても実効性がなく、国の財政支援の対象もあいまいなためにその線引きをしようとするものだと理解する。しかし、この記事の内容だと国が定めた一定基準をオーバーした際に最終的に判断をするのは、あくまで国のため地方時自体の判断の独自性はない。繰り返すが地域ごとの対応といいつつも判断をするのは国だ。
本県の現状と対応を分析すると「病床占有率」の基準値の対象となるものは県立病院なのでますます県の管理体制の責任は重大になる。あわせて保健所の業務範囲も拡大するので迅速なるマンパワーの強化の是非などのチェックが求められる。
いまだ感染確認者ゼロの岩手県であるが、すでに全国的に第二波到来の様相を呈しており、対応は迅速に確実に行う必要がある。