2020年03月15日

サプライチェーンの拠点見直しを迫られる

グローバル網の深化不可欠 米欧断絶、広がる波紋

【新型コロナ 経済 2020/3/15 0:30日本経済新聞 電子版】

新型コロナウイルスの大流行が貿易の拡大をエンジンとして成長してきた世界経済の試練となっている。

世界銀行などによると国内総生産(GDP)に対する貿易の比率は、世界全体として1990年ごろに30%台だったのが2010年代には60%前後に高まった。足元は米中の貿易戦争で頭打ちの動きがみられるが、今回の感染拡大に伴うサプライチェーン(供給網)の寸断は貿易の比率を大きく下振れさせかねない。

企業活動の凍結は広範囲に目立ってきた。日産自動車は13日、欧州での感染拡大の影響でスペイン・バルセロナの工場の操業を停止した。工作機械大手DMG森精機グループも3月に入ってドイツの拠点の一時閉鎖に追い込まれた。

感染のピークを過ぎたとされる中国では二次的な供給網の目詰まりの恐れが出ている。米フォード・モーターは2月中旬、重慶工場を地元政府の協力も得て再稼働した。だが部品不足で「数日稼働すると数日休業する」(従業員)との不安定な日々が続く。稼働率はなお3割未満に低迷する。

中国の生産動向を映す発電大手6社の石炭消費量は3月上旬も例年の4分の3ほど。重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した02〜03年と比べても戻りのペースは遅い。国際通貨基金(IMF)元副専務理事の朱民氏は「当時との違いは中国が世界の供給網に組みこまれたことだ」と指摘し、中国としても国内だけで経済活動は完結できないとの認識に変わっている。一方で、世界の企業の経営者には拠点の見直しが課題になりそうだ。

新型コロナの感染拡大は、グローバル化の進んだ世界経済のもろさを露呈した。しかし世界が経済成長を続けていくには、グローバル規模の自由で効率的な経済環境が欠かせない。後戻りはできず、深化したネットワークをどう再構築していくかが重要課題となる。

各国の指導者にもグローバルサプライチェーンを壊さないような理性的な対応が求められる。週明けに予定する緊急のテレビ会議での主要7カ国(G7)首脳らの話し合いも混乱の早期収拾に向けた機会になる。


新コロナウィルス感染症はわが国にも製造業、観光業などですでに深刻な影響が出ているが、世界全体に蔓延したことで経済にも大きな影響が出始めてきた。欧州において感染者が増えているのは中華人民共和国の一帯一路政策とも無縁ではないだろう。

記事で指摘しているように、現代は経済格差を利用した原料調達から端を発した経済が全世界に網の目を張り巡らせたグローバル化社会。ここから我々は後戻りすることはできない。中共が世界の工場と言われて久しいが、大企業を中心として拠点の見直しを迫られるのは間違いない。今も拠点転化が進んでいるベトナムやカンボジア、ミャンマーなどへの進出が盛んになるのではないか。

いずれ世界経済にとって大きな分岐点に差し掛かっている。
posted by 飯沢ただし at 22:36| 岩手 ☁| Comment(0) | My Diary  【ふつうの日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする