宮蘭フェリー、来年3月休止 貨物伸びず低迷続く
【12/21(土) 14:00配信 河北新報】
岩手県宮古市と北海道室蘭市を結ぶ「宮蘭フェリー」を運航する川崎近海汽船(東京)は20日、宮古への寄港を2020年3月末で当面休止すると発表した。東日本大震災からの復興を後押しすると期待されたが、業績不振が続いていた。4月以降は八戸−室蘭間で運航を継続する。
宮蘭フェリーは岩手県初の定期カーフェリーとして昨年6月22日に就航した。同社は20年度が見込まれる三陸沿岸道の全線開通を先取りし、貨物集荷の需要掘り起こしを進めてきた。
しかし、現時点では一部に未開通区間があることから多くのドライバーに敬遠されたとみられる。収益の柱となる貨物取扱量が伸びず、2年足らずで姿を消すことになった。 県の輸送実績(速報値)によると、今年10月までの宮古発着便のトラック輸送は累計5321台で、1便当たり約7台だった。昨年10月には室蘭発宮古行きの八戸寄港、発着時間の変更などてこ入れを図ったが、業績の好転に結び付かなかった。
同社の岡田悦明フェリー部長は「三陸道仙台−宮古間はほぼつながったが、利用実績は上向く兆しが見えない。宮古盛岡横断道を含む道路開通後の交通量の変化を注視し、再開に向けた検討をしたい」との考えを示している。
達増拓也知事は「復興道路の整備で宮古港の利便性が高まっている認識に変わりはない。宮古市と相談しながら対応したい」と述べた。
最初から苦戦するのは目に見えていた。採算に合わねば民間企業は撤退するのは常識。
私も経過を見ながら特別委員会で警鐘を鳴らしてきたが、果たしてどれくらいの努力を県はしたのだろうか。県はフェリー就航に合わせて宮古港の岸壁に多額の費用を投入してターミナル施設も準備した。これからの戦略を聞きたいものだ。
飯澤匡議員 宮蘭フェリーに対するこれまでの質疑
平成30年2月定例議会予算特別委員会
◆商工労働観光部における審査
〇飯澤匡委員 質問に入る前に、きのう釜石市を経由して宮古市まで追悼式に行きましたが、やはり物流としての幹線が非常に整備されているなということを実感しました。これからいろいろな物流環境を整備する上に立って、宮古港はフェリー航路が開設されるということですが、これはしっかりと心に刻んでほしいのですが、航路だけではだめなのですね。しっかりと集荷業務をして、それの二次展開を図ることが必要です。コンテナ港はそれなりの波及効果がもうすぐ出てきますが、フェリーとなると、やはり港湾課だけではなくて、商工労働観光部がそのところの集荷、コンソリデーション(混載)でありますとか、そこから、どのように宮古-盛岡というルート、これも考えなければならないと思いますので、その点しっかりとやっていただきたいと思います。
◆県土整備部における審査
〇飯澤匡委員 港湾についてもう一つですが、宮古-室蘭定期フェリー開設は非常に喜ばしい事柄でありますが、先ほどの質問にもありましたが、その答弁として、観光を軸にという嵯峨企画課長のお話でした。
ところが、私も物流業界の中で生活をしていまして、フェリー観光というのはほとんどといいますか、余り期待できるものではない。要は、商業者がほとんどでして、その中で往復便でどれだけペイできるかということがフェリー業界の一つの常識です。フェリーのメリットとすれば、トレーラーで運んできて、北海道の業者がそのままトレーラーに載せて宮古まで持ってきて、引っ張るトラクターは県内の業者で持っていくということで、労働時間の短縮にもなるし、フェリーでの移動時間は休息時間と今は認められるようになりましたから、それはそれでまた別な話ですが、いずれ、地元の物流業界にとってメリットがあるとすれば、まずそれが一つ。
ただ、これもあくまで通過型でありまして、やはり岩手県の荷物をどうやって集荷して宮古港から出していくかということも考えていかなければならない。
質問項目には入れていませんでしたけれども、さっき城内委員からあったフェリーターミナルについて、トラック協会からもオフィスのスペースをつくってくれという要請があったはずですが、その状況はどうなっているか、まずそれをお伺いします。
平成30年9月定例議会 決算特別委員会
◆県土整備部における審査
〇飯澤匡委員 大きく2点についてお伺いします。
最初に、宮古─室蘭フェリーのダイヤ改編に関して伺います。
私は、1期目の2回目の一般質問だったと思いますが、港湾の重点化ということで提言をさせていただいて、その後、港湾議員連盟ができたり、港湾ビジョンも策定していただいて港湾の重要性も認識され、その役割分担とともに大きく前進が図られてきたという思いを持っております。今回は、せっかくこういう航路が設置されましたので、これをもっと発展的に捉えて継続していくべきだという観点に立って質問します。
随分と早いダイヤ改編がありました。帰便で八戸港に寄港するというダイヤが発表され、それに伴う船のメンテナンスのために減便にもなったということです。
質問の順序を変えますけれども、まず、減便されたことに対する県の所感、もう一つは、さきの予算特別委員会で、私は、県内の貨物集荷の取り組みを強化すべきだと指摘しましたが、この間の県の取り組み、その効果、そして、この間の総括質疑において、1便当たりの平均利用数は、宮古発ではトラック3台、室蘭発ではトラック6台との答弁があり、大変厳しい状況に至っているわけですが、この間の課題認識をお伺いします。
〇飯澤匡委員 肯定的といいますか、ポジティブに捉えればそういうことだと思うのですが、利用者側、物流業者側の目から見ると、八戸港は今のところやはり潜在力があるわけです。将来的に三陸復興道路が全線開通すれば、間違いなく競争力があります。ですから、この間、どうやってつなぎとめる方策を考えるかと。やはり物流をしっかりとどめるような努力をしていかなければならない。これは大変な努力が必要かと思います。
せっかくできた航路ですから、これは生かしていかなければならないし、八戸港というのは八戸─苫小牧という非常に太い動脈航路があって、その中で、やむを得ず八戸港に行くものを少しでもいただこう、そして積載率を高めようというのがフェリー運航会社の考え方だと思うので、言うなれば、積載率をどうやって高めるかというのが課題となっているわけです。
私が心配しているのは、いかんせんこのダイヤ改編が早かったと。これはやはり重大な事実として受けとめて、危機感を持って対応しなければならないと思います。
確かに、この間の北海道の地震等で利用されたことで宮古─室蘭間のフェリーについては注目はされましたけれども、これを安定的に継続していくことが大事なので、その点をもう少し危機感を持ってほしいと思います。
そこで、10月1日の記者会見で知事は、八戸寄港にダイヤを改編したことに対して、サービス向上と、業者の目から見たような形の発言をしました。記者が二の矢で、存続の危機なのではないかというダイレクトな質問をしたのに対して、ビジネスというのは常に危機とともにあるという、非常にはぐらかしたような状況で問題をすりかえている。私は、これこそ大変な情報発信の損失だと思うわけです。フェリー会社は非常に足が速いわけです、やはり採算を求めていきますから。何とか復興道路が開通するまでしっかりと支えていかなければならない。それには安定した乗客、定期的なお客さんをしっかりつかまえる努力を─単発ではだめなのです。常に北海道に行く、そして帰るという便を確保しなければならない。これは相当な努力が必要です。八戸からの荷物を取ってこなければならない、そういうことも考えなければならないのです。
私は、知事のこの意識というのは非常に誤っていると思いますが、部長も同じような考えですか。
〇八重樫県土整備部長 まず、サービス向上と捉えているという知事の記者会見での発言ですが、これは、船社である川崎近海汽船からのメーンの理由として承ったという趣旨での発言ということで、そこは私も同様の認識であります。
ただし、県として危機感を持っていないということは全くありません。これは、やはり宮古─室蘭の航路が定着するということが非常に重要なことですので、八戸港に一時寄港するというのが利用者の一時的な利便になるのは間違いありません。ことしは台風も多くて、宮古─室蘭の欠航も実は相当数あったことで就航率が伸びなかったということもあります。その分、例えば八戸港に寄港した場合でも、航路は往復確保されたという状況にもなりますので、船社では、就航率もそんなに落ちてないというような対外的なPRの必要性も認識して、こういった決断に踏み切ったのではないかと考えております。
そういったことも含めて、まずサービス向上という言葉は、それはそれで間違っていないのではないかと考えておりますが、これは当面の措置であると知事も申しています。いずれ、復興道路が完成した折には、宮古─室蘭でダイレクト航路に復帰していただくということが非常に重要でございますし、その後もしっかり定着していただくということが重要でありますので、委員御指摘のとおり、これからはできる限り貨物自動車の掘り起こしを行うため、船社と連携しながらいろいろな荷主会社に、必要な対策を早急に打ってまいりたいと考えております。