2019年12月12日

令和元年12月定例会が閉会

台風19号からの三陸鉄道の復旧予算等の議案を含んだ議案が可決され、12月定例議会は閉会しました。

賛否が大きく分かれたのは

議案第4号 岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例

「いわて県民クラブ」では私も先日のブログで記した内容を元に、会派内で議論を尽くした結果、一致して反対ということに決して私が会派を代表して反対討論を行いました。

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いわて県民クラブの飯澤匡でございます。

只今上程されております議案第4号「岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例」に反対する立場で会派を代表して討論を致します。
この条例案の内容は
(1) 秘書広報室及び政策地域部を再編し、政策企画部及びふるさと振興部を設置すること。
(2) 政策企画部及びふるさと振興部の分掌事務について定めること。
となっております。

私たち「いわて県民クラブ」は岩手県議会基本条例に定められた第9条の二項、議会は知事等と異なる立場及び権能を生かし、活動しなければならない。第10条、知事等の事務の執行が、適正かつ公平に、及び県民の意向を的確に把握しつつ能率的に行われているかどうかを監視するとともに、これが所期の効果及び成果をあげるかどうかを評価し、知事等に対し必要な是正措置または対応を促すものとする。この条例の趣旨を汲んで以下反対する理由を申し上げるものであります。

討論に入る前に、私たち「いわて県民クラブ」は9月定例会後に33すべての県内市町村に出向き、県への予算要望と県政課題について意見交換をしてまいりました。どの自治体も必死になって諸施策を駆使し将来に向けて奮闘している姿を拝見して参りました。意見交換の中で共通して広域振興局の機能についての話題がでました。「今や核心的な問題は本庁に行かねば解決できない。したがって振興局に足を向ける機会も激減した。」など2年前に比べてその中身は深刻になっていると認識致したところです。

さて、時計の針を10年前に戻します。10年前も達増県政であります。
10年前「いわて県民計画の着実な推進」及び「広域振興局支援機能の充実」を前提とし、総合政策部、地域振興部及び総務部のあり方について見直しの部局等設置が提案され
1) 直接補助部門の純化を図るため秘書広報室を設置
2) 政策立案機能の一元化・強化のために総合政策部と地域振興部を統合して政策地域部を設置

今回提案されている政策企画部は10年前の総合政策部とほぼ同様の機能を持たせるものになっています。いわば10年前の組織再編は何だったのかということになります。
10年前も私は総務委員会に所属し、質問致しました。再編の理由について当時の菅野総務部長、並びに高前田総合政策部長の答弁内容はこのようになっています。

菅野部長:
「県民計画の推進において、政策決定過程として二つの部が関わっている。広域振興局に移行したことに伴っての地域の政策については、より地域でいろいろ考えていただき、それを県に反映するところからすると、やはり県全体での政策機能と地域政策を担う機能が集中化した方がいいだろうということで政策地域部に集約化させた。」
高前田総合政策部長:
「まず一つは広域振興局体制をしっかり支えていくことからすると、今の総合政策部それから地域振興部が一体となって政策の企画立案、それから広域振興局をしっかりバックアップしていく体制が必要である。」
また、秘書広報室に政策的な機能を持たせることについて、いわゆる今回の政策企画部に相当するものですが、そのことについても答弁で触れています。
高橋人事総括課長の答弁です。
「知事直轄的な知事公室等を設けるという議論もあったが、ただ一方、直轄組織としての庁内の政策的なリードをするような機能を設けますと、今度は政策地域部との役割分担、それから調整等が多く出てくる。」ここで機能的ではないと判断しています。

この度の提案は10年前の根拠とはまったく違う判断をしていることがこの議事録でよくわかります。時代の要請は刻々と変化していきますから県が時代の変化に対応した組織改編を行うことはやぶさかではありませんが、ならば10年前の改編がどのように県施策の推進に活かされたのか活かされなかったのか、検証作業を通じて問題点を明確にして議会に提案するのは当然の責務であるから示すことを求めましたが、その点については全く言及がなく、ただただ期待されるメリットを強調され、反省に立つこともなく現状における必要な具体的な改善の手立ても示されませんでした。

冒頭申し上げましたように、期待された広域振興局の機能は自治体の期待に応えられていません。知事は市町村要望については広域振興局長から市町村の要望を受け取るシステムは機能していると答弁されていますが、今回の案では市町村から広域振興局、広域振興局からふるさと振興部、ふるさと振興部から政策企画部とさらに屋上屋を重ねることになります。県は新しい総合計画においても市町村との連携強化を叫んでいますが、これで市町村は納得するでしょうか。さらに10年前に庁内で検討された役割分担、調整等が多く出てくることを克服する具体案も示されていません。

また、私はこの10年間、秘書広報室の機能について監視に努めてきましたが、先の総務委員会でILC実現の国への要望相手も把握していない秘書広報室長の答弁には驚かされました。各部局長との十分な調整を行うことを担うとされた局長が岩手の将来を左右する大プロジェクトに関してこの程度の認識度では純化とは名ばかりで、糸偏ではなく金偏になっているのではないでしょうか。このままの組織を温存し政策立案機能を付する危険性を私は強く感じます。

まずは組織改編以前に広域振興局のあり方、特に市長村との関係強化をどのように具体的にすべきか足元を見つめることが必要ではないでしょうか。県庁内の人材育成についても全く触れていないのは組織論としては片手落ちです。組織のフラット化、職員のモチベーションを高める組織の在り方、民間では基本的なトレンドになっているものが全く見当たりません。看板をすげ替えても魂が入ってなければ意味がないのです。私は先日の総務委員会における質疑を通じて、関係部局内でどれほど深く議論されたのか疑義を持ちました。なぜなら答弁内容は一面的で、納得できるものは残念ながらほとんどありませんでした。少なくとも10年前はさまざまな角度で議論をしたプロセスがあったことを議事録で改めて認識しました。もう一度庁内で熟議を尽くすべきです。見切り発車はいけません。

議会の議決権の行使は議会に与えられた最高の権能であり、それを行使するには責任ある対応をするのが議員としての務めです。我々が指摘した点を当局が明らかにせず、これから議員の指摘を十分に汲んで施策に反映させて頂きます程度では県民に対して議員の責任が果たせません。

以上の理由を述べて反対討論と致します。



議案の採決は賛成多数で議決されましたが、4割の議員が反対したということを重く見て体制づくりをしなければならないことを意味しています。もちろん我々「いわて県民クラブ」はこれからも監視体制を強化していきます。
posted by 飯沢ただし at 16:34| 岩手 ☔| Comment(0) | My Diary  【ふつうの日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする