3月22日(金)、国際将来加速器委員会(ICFA)は、日本のILCに対する関心表明に対する対応を発表し、ILCの実現を奨励しました。
ILCプロジェクトに関する文部科学省の見解に際してのICFA声明
全文英文を和訳
2019年3月6日〜8日に東京で開催された国際将来加速器委員会(ICFA)年次総会において、文部科学省の磯谷桂介研究振興局長が、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)およびICFAに対して方針の説明をしてくださったことに謝意を表します。 ICFAは、この、文部科学省および関係省庁におけるILCへの継続的な関心の表明をILC実現への道筋に沿った重要なマイルストーンと見なしています。 また、ICFAは、3月6日にICFA・LCBに対する式辞の中で、河村建夫衆議院議員/ILC議員連盟会長が、国会内におけるILCへの支持を確言なさったことに対して感謝申し上げます。
2012年にCERNのLarge Hadron Colliderで発見されたヒッグス粒子は、過去数十年の素粒子物理学研究における最も重要な発見であると認識されています。 この比類のない粒子は、自然の基本法則を理解するための新しい出発点となるものであり、新たな発見のための素晴らしい道具となることが期待されています。
ICFAは、次世代の国際協力で進める加速器の最優先事項は、ヒッグス粒子の精密研究が可能な「ヒッグス・ファクトリー」であるという国際的な合意を追認します。 今回のICFA会議では、ILCとその他のコライダー技術等の、ヒッグス・ファクトリーの選択肢について議論が行われました。
ICFAは、ILCの科学的意義と、ILCが建設承認を得るのに十分な技術的水準にあることをあらためて明言します。
2013年に策定された欧州素粒子物理戦略、および2014年に策定された米国の素粒子物理学プロジェクト優先順位付け委員会(P5)報告書の双方において、日本の物理学コミュニティによる、日本がホストするILC計画の取り組みに対する支援が表明されています。
ICFAは、文部科学省がILCに関心を持ち、プロジェクトについて関係国政府と議論を継続するものの、現時点では、日本がILCをホストする意思を表明するに至らないということを認識しています。 もし ILCのホストに向けた日本の立場の明確な声明があったなら、それは現在進行している欧州素粒子物理戦略の更新の議論に大きな影響を与えうるものでした。
ICFAは、世界中で提案されているヒッグス・ファクトリーの選択肢について、大きな進展があったことに満足していることを付記します。 今後、すべての選択肢は、欧州粒子物理学戦略の更新の議論、およびICFAにて検討されます。
東京、2019年3月
ICFAからの公式な声明が文書でされました。
3月7日の文部科学省の発言を受けてILC実現への道筋に沿った重要なマイルストーン(確実な道程をたどっている)と評価したものです。
さて、これからの一年が重要な局面です。何にしろ必要な準備を進めていきましょう。