2019年03月07日
3月7日という日
次世代加速器ILC 誘致検討へ米欧と意見交換 文科省が見解発表
【2019.3.7 産経新聞 電子版】
宇宙の成り立ちを探るため、日米欧などの物理学者が東北地方に建設する構想を進めている巨大な実験施設の次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について文部科学省は7日、建設を誘致する可能性を探るため、米欧と国際的な意見交換を行うなどとする政府方針を正式発表した。
東京都内で開催中の素粒子物理学の国際会議で表明した。誘致の意思表示には至らなかったが、計画について真剣に検討する姿勢を各国に示した。
文科省の磯谷桂介研究振興局長は記者団に「関係省庁とともに検討した現段階の見解を示した。段階は前に進んだ思う」と述べた。
見解では、建設誘致について国内の科学コミュニティーの理解が得られるか日本学術会議での正式な議論が必要だと指摘。欧州の研究戦略の議論も注視するとした上で「ILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続する」とし、従来の米国だけでなく新たに欧州と意見を交換する場を立ち上げる考えを示した。
本日、文部科学省研究振興局長 磯谷桂介 氏よりLCB/ICFAの国際会議において現在の政府見解が発表されました。
多くのメディアが現時点で日本誘致の表明には至らないがという点に目を奪われて本質をついていない見出しが午前中には多かったようですが、夕方のLCBの研究者からのインタビューにより記事内容に変更をかけたようです。
今回の政府見解のポイントは
💡「文科省はILC計画に関心を持って他国政府との協議を継続する」という政府見解を初めて示したこと!
であって、これはこれまでILC研究者コミニティーやILC推進国会議連が3月7日の時点でこのことを最低限表明してもらえれば前進するというリクエストには100%答えたことになるのです。
ところが日本語に訳された見解ではその部分の表現にモヤがかかっていて明確に断言したものにはなっていない、が!英文のオリジナルを観れば一目瞭然。
MEXT(文科省) will continue to discuss the ILC project with other government while having an interst in the ILC project.
引用した産経新聞の電子版にもあるように「段階は前に進んだと思う」で間違いないでしょう。
こらからは国外では本格的な政府間交渉に入りつつ、国内では日本学術会議のマスタープラン重点大型研究計画の選定に入ることを目指していくことになります。後者は2020年の2月ごろが期限とされています。
門は開いたがまだまだ到達点には大きな山を越えていかねばならないというのが現時点です。クリティカルデシィジョン(CD)からいうとまだCD2の段階です。
そしてなにより時間がありません。
いずれにしてもようやく研究者レベルから政府レベルへと段階が上がったのは事実。
しかし、冷静になって考えてみれば現時点でホスト国になります!なんて発表する時期ではありません。これを言ったら日本への負担割合が大きくなってしまうのは目に見えてます。なにせまだ政府間交渉が始まってもいないのですから。すでに今日から駆け引きは静かに始まっているということです。これを洞察できないようではメディアの科学班の名が泣くというものです。
とにかく我々にとってこれからできることを頑張っていきましょう。