岩手県議会ではこの議連にすべての議員が参画していますが、岩手県議会からの本日の出席者は19名でした。
来賓の村井宮城県知事のあいさつの後、宮城県議会CERN視察の報告があり、そして吉岡正和先生による「ILCをめぐる国内外の動向について」と題しての講演でした。

吉岡先生の講演はこれまで10数回拝聴しておりますが、今日の内容ほどILC実現に向けてシビアな内容はありませんでした。
まずは先日福岡県で開催されたアジア・リニアコライダー・ワークショップの内容について重大な発言が
1)ヨーロッパ将来計画検討の重鎮 Halina Abramovicz 博士から
⇒ 日本がILCホスト意思を年末まで(正確には12月18日)には示さねば、欧州将来計画には内包されない・・・ILCの将来計画も、それを前提として大きく変わる
2)アメリカ・フェルミ国立研究所長 Nigel Lockyer 博士から
⇒ 今がILCの提案時だ・・・2030年台にILC建設終了がベスト・・・欧米ともILC向け予算スロットがある
また、ヒッグス粒子に関しても触れて
⇒ ヒッグス精密測定は宝の山・・・これをやらない手はない!(You would be nuts not to study the heck out of the Higgs.)
3)LCCディレクター Lynn Evans 博士から
⇒ 日本はいつまでも中立でいてはダメだ・・・日本は意思決定は遅いし、あやふやで・・・ダイオード(一方向にしか通電しない)みたいだ(情報を入れても、そこから何も返ってこない・・返事がない)
というように参加された吉岡先生にとっては今回のワークショップは針の莚状態だったようです。
また、現在の中華人民共和国の状況についても重大な報告がありました。
1)CEPCというヒッグスファクトリー構想があり、すでに動きだしていて、まずはILCと同じヒッグス粒子を測定する施設としてスタートし将来はCERN将来計画を凌ぐハドロンコライダーにする(なんと周長100kmのシンクロトロン)。なおかつ候補地選択までかなり絞り込みが進んでいる。予算の裏付けも100億円規模で十分に確保できる。
2)超伝導空洞やクライモジュールの量産体制も準備できる→ ILCにも簡単に輸出できますよ・・・
3)上海では超伝導空洞をベースとしたXFEL計画(ILCの小型版とも)がスタートした。
という隣国の動きが重層的に10倍速以上で動き出している(吉岡先生談)。日本がボヤボヤしている間にこんなことになっていたのです。
我が国はものづくり大国、科学技術立国なんていうのはすでに過去のもの。日本の大学のランキングは長期低落傾向にあり、今、私たちは重大な岐路に立っているという吉岡先生の客観的評価に基づくご意見でまとめがされました。
私にとってもかなりショッキングな内容で、ILC決定に時間がないことが明確になりました。
とにもかくにも与えられた持ち場で精一杯ILC実現に向けた活動を加速させなければなりません。もう時間がないということです。頑張らねばなりません。