岩手県、19年に防災復興を発信するプロジェクト
(北海道・東北 日本経済新聞 2018/3/24 1:31)
岩手県は東日本大震災の風化を防ぎ、復興する被災地の姿を全国に発信するため、2019年に「三陸防災復興プロジェクト2019」を開催する。23日、実行委員会を設立した。計68日間にわたり、震災・津波を教訓にした防災の取り組みのほか、三陸の多様な食文化や観光資源を紹介し、復興後を見据えた地域経済の活性化を図る。
基本計画によると、開催期間は19年6月1日〜8月7日。会場は沿岸13市町村を中心に、近隣の地域との連携も予定する。総事業費は約4億8000万円。実行委には沿岸市町村だけでなく、県内全市町村が参加している。
実行委が主催する催事は24件。「将来に向けた備え」ではシンポジウムや防災復興展示会、「三陸の新たな魅力」では海産物を楽しむまつりやチェックポイントを回る野外ゲーム、「にぎわいの創出」では音楽祭や祭りなどを予定している。
プレイベントとして今年8〜9月のうち1週間程度、釜石市で催事を計画。9月に東京で開かれる日本最大規模の旅行博「ツーリズムEXPOジャパン2018」にも出展する。
19年はJR山田線宮古―釜石間が三陸鉄道へ移管されて日本最長の第三セクター鉄道となるほか、9〜10月には釜石市を会場の一つとしてラグビーワールドカップ(W杯)が開かれる。達増拓也知事は「国内外から三陸地域が注目を集める機会。新しい三陸の創造のためオール岩手で取り組む」と話した。
以前にも問題提起した復興博覧会が防災復興プロジェクトと名称変更され、2019年に開催されることとなった。沿岸市町村にしてみれば財源の心配はないと県は言っているし、まぁ損にはならないだろうと消極的賛成にも見えるが・・・果たして
達増県政はイベント、シンポジウムが大好きだ。
ところが最近の政策評価はイベントに何人集まるかが評価の対象となっているとの予算委員会でも議員から指摘があった。イベントは事前の段取りで8割方の仕事は終わる。被災地に行政がお金を注力すべきはこれからの被災地ふるさとを支える人材の育成、安定した収入を得るための産業の振興ではないのかと私は考える。優秀な県職員が一過性のイベントに張り付けている様は私はもったいなくて仕方がない。
イベントは華やかで一瞬の達成感はあるが、次の段階で多くの県民にどうつなげるかのシナリオが見えない。
私はすべてを否定はしない。2019年にRW釜石のプレイベントJR山田線の三陸鉄道開移管に合わせて賑わいを創出し、情報発信と交流人口を増やすことは大賛成である。しかし何も2019年に多額の予算をつけてすべての沿岸に大風呂敷を広げて一気にやる必要もなかろうと思う。県には何度も意見提言をしたが聞く耳などなかったようだ。復興は2019年に当然終わるわけでもないし2020年は東京オリパラがある。聖火リレーに合わせて他の市町村にスポットライトを当てたらいいし、イベントをするなら2020年以降も連続して工夫をしたらいい。それも主体は沿岸自治体の若者であるべきだ。祭りは内からの熱がなければ成立しない。
プロジェクトに名のつくものに、かつてプロジェクトNなる知事の私的に近いものが存在した。知事のマニフェストを実現する満足するだけが目的なら県民に申し訳が立たないのではないか。短期間に4.8億円もかける意味が理解できかねる。
企業・団体からの協賛金を募るとしているが、果たしてどれだけ集まるか。また集め方もしっかりチェックを入れておかねばならない。
本年がILC実現がが最終局面を迎える中で、この成否が将来の岩手に大きな影響を与えるのは明らかで、県が最も力を入れるべきはそこではないのか!