2017年11月13日
ILCの日本建設の期待が上昇↑
ICFA 250GeVのILC加速器建設を支持しILC早期実現を奨励
「国際将来加速器委員会(ICFA)」は、いわゆる「ヒッグス・ファクトリー」として250ギガ電子ボルト(GeV)で運用する国際リニアコライダー(ILC)の建設を支持する声明を発表しました。 声明の中でICFAは、ILC計画を継続的に支持するとともに、ILCを日本のイニシアチブによる国際プロジェクトとして、時宜を得て実現をすることを強く奨励しました。
この声明は、カナダ・オタワで11月6日から9日に開催された第12回ICFAセミナーの場で発表されたものです。
ICFA現委員長である、ヨアキム・ムニック ドイツ電子シンクロトロン研究所 素粒子物理・宇宙素粒子物理部長は、「世界の主要な素粒子物理学研究者の意見が、このように一致したことは非常に喜ばしいことです。素粒子物理学はヒッグス粒子の発見のような、世界の注目を集める目覚しい成果を上げてきました。次のステップは、より強力な加速器を用いて根源的な謎をより深く解明するためのさらに国際的な取り組みとなります。世界の科学者はこの心躍る未来に向け一致団結して取り組んでいきます」と述べています。
声明文全文(2017年11月8日)
ILCの「ヒッグス・ファクトリー」としての250ギガ電子ボルト運転に関する国際将来加速器委員会(ICFA)の声明
欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロンコライダー(LHC)で2012年にヒッグス粒子が発見されたことは、近年の科学における最も重要なブレークスルーの1つであり、基礎物理学の大きな一歩と成りました。ヒッグス粒子を精密に研究することにより、物質とその相互作用の最も基本的な法則の理解がさらに深まるでしょう。
250ギガ電子ボルト(GeV)の重心系エネルギーで運用する国際リニアコライダー(ILC)は、ヒッグス粒子の精密測定により素晴らしい科学成果をもたらすでしょう。したがって、国際将来加速器委員会(ICFA)は、ILCを、LHCとそのアップグレード計画とは相補的な役割を果たす重要な科学プロジェクトと認識しています。
ICFAは、ILCのコスト削減に関するリニアコライダーコラボレーションの取り組みを歓迎しています。 これは、250 GeV加速器が、2013に発行した技術設計報告書(500 GeVの加速器)に比べて最大40%のコスト削減が可能であることを示しています。
ICFAは特に、リニアコライダーの高エネルギーへの拡張性を重視しており、250GeVを超えるエネルギー領域で行うことが可能となる追加の測定で、大きな発見の可能性があることに注目しています。
ICFAは、今回の委員会で示された、リニアコライダー計画推進委員会(LCB)の報告書の結論を支持しており、日本が、日本のイニシアチブによる国際プロジェクト1として、重心系エネルギー250GeVの「ヒッグス・ファクトリー」のILCを、時宜を得て実現することを強く奨励します。
※ICFAとは
国際将来加速器委員会(ICFA:International Committee for Future Accelerators)は高エネルギー物理研究に用いる加速器の建設と運用における国際協力の促進を目的に設立された組織。 高エネルギー物理研究に関与する地域の専門家から構成されており、現在の委員は16名。
以上KEKのHPから抜粋です。
ILCを日本でぜひやって下さいという公式なステートメントが発せられたのですから、やらないという選択肢はありませんね。大いにやりましょう!
英語の原文では、very strongly encourages Japan やら led by Japanese initiative というテンションが上がる文章が記されています。
ICFAによるステージング(距離短縮20km)の承認は研究者では最終的なものであり、ある意味日本へのILC計画の早期決定を促す最後通牒とも言えるかもしれません。
こうなればいよいよカウントダウン。これまでも自分なりに一生懸命活動してまいりましたが、これからも気合を入れて実現まで頑張ってまいります。県は研究者の受け入れ態勢など具体的なプランなど早急に検討に入らねばなりませんね。
一方、冷静に見なければならないのは、地元紙がトップであげておりますが、日本経済新聞などは一切記事になっておらないこと。これが国レベルの今の現実と受け止めなければなりません。