2017年05月13日

再生エネだけでは供給が回らない?

5月10日〜11日まで「エネルギーを考える議員連盟」で東北電力の3施設を視察してきました。

1)女川原子力発電所

平成13年頃に当時所属していた「政和会」の会派視察以来で2度目の訪問です。9・11テロ以降セキュリティーがかなり厳しくなっており、前回は冷却プール前まで行って写真も撮りましたが、今回はほとんどの箇所がNGでした。震災後は電源確保や冷却水のバックアップ機能等の増強が求められており、発電所の周辺は対策強化がされていました。特に防潮堤のかさ上げは海抜29m対応型に建築中でありました(想定津波を13.6mから23.1mに)

何より認識を新たにしたのは、そもそも当初から発電所の敷地の高さを14.8mにしていたため津波が越波することはなかったとのこと。当時は他の電力会社からそんな高さのかさ上げは必要あるのか?と揶揄されたようですが、当時の技術者の慧眼による決断と実行により、女川原発は大津波から守られたのです。実にすばらしい話ではありませんか。


震災による被害はゼロではなく現在も毎日保守点検作業が継続中でありました。

2)本社屋にある中央給電指令所

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電気の使用量は一日のうちでも季節でも大きく変わることから、需給調整のコントロールをする最新の施設です。指令室は同じ仕様の訓練シュミレーターもあり、突発的な状況にも対応できるように訓練を続けています。

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ちょうど東日本大震災時のプログラムを改定したものを体験することができました。同じ一関市でも供給経路が異なるのが一目瞭然。摺沢地区が停電解消が遅かったのが理解できました。

3)新仙台火力発電所

熱効率が世界最高水準60%超のコンバインドサイクルの最新鋭の火力発電所です。世界各地よりLNGを受け入れクリーンエネルギーを有効活用しています。

三施設の視察だけでなく、バスの中でも東日本大震災時の対応や再生エネルギーの光と影と題したDVDも大変参考になりました。再生エネの先進国と言われるドイツでも需給バランスを保つために石炭火力発電の稼働を余儀なくされて、逆にCO2の排出量が増加している事実や、スペインが急激なインフラ整備をしたために固定買取制度の価格を下げなければならない事態に陥っていることなどが紹介されていました。やはり基幹電源はしっかりと確保しなければならないということですね。
posted by 飯沢ただし at 01:32| 岩手 ☁| Comment(0) | My Inspection 【視察日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする