何もこの大会の時にと天を憎くなるほどの悪天候。雨・風・雪の三点セットの大会でありました。
5年ごとに開催されるホルスタインの共進会。全国大会となれば出品牛は素人目からは甲乙つけがたい仕上がりでした。
結果は地元北海道が上位を独占して、津軽海峡を渡った牛は体調管理でもハンデがあったようです。
大会の視察も会場内の熱気と緊張感を肌で感じ勉強になりましたが、普段はなかなか接することのできない岩手県北の酪農家の皆さんと交流できたのは何よりの収穫でした。私も生業を酪農と関係した仕事に携わっていますので、生産地の近くまではタンクローリーで寄ったことはありましたので懐かしい方との再会もありました。
【出番を待つ岩手のチャンピオンたち】
岩手の出品者はベテランの中にも若い後継者も育っていて、とても心強く感じました。しかし、将来の見通しを聞くとやはり規模拡大にはTPPの大筋合意もあり、かなり慎重のようで先行きの不透明感は拭えません。
【右の経産牛は岩手のナンバーワンチャンピオン】
最近の岩手の生産量も酪農家の廃業が相次いでいる影響で現在は年間22万トンほどでしょうか。生産者が競って意欲的に規模拡大をし設備投資する時代はピークを越しました。これからは効率を重視し、経営効率を高めることにシフトしていくのでしょうが、このような共進会に出品する牛をつくっていくとなるとやはり効率を求めていくだけでは極めて困難です。
耕畜連携は土地利用型の農業の理想ともされ、農村の基礎ともなってきましたが、これからの農村ははたしてどのようになっていくのか。共進会の見事な牛を見ながら、農村地域の人口減少の進行は全国的な新たな生産地の集約化につながっていくのではないかと良からぬ想像が頭をよぎりました。
しかし、全国の多くの農業高校の高校生も会場につめかけ大会の行方を視察するだけでなく、高校からも出品を果たし、高校生がリードマンとなって会場を盛り上げている姿(特に女生徒が多かった)は日本の酪農の未来はまだまだ捨てたものではないとも感じました。次世代の生産者が自信をもって生業として酪農ができるよう関係者は(政治家も含め)奮闘しなければなりません。
私にとって実のある視察研修となりました。