2014年09月25日

SLAC視察〜50年の歴史から未来へC

Marc C Ross博士との意見交換。
Ross博士は「 Project Manager for the Global Design Effort 」
国際加速器のプロジェクトマネージャーとしてILC計画にも携わっており、日本にも頻繁に足を運んでおられる方です。

SLACの民間活用の状況ととILCの将来展望について主に伺いました。

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・SLACにおける民間活用について

SLACの周辺では加速器の実験を通じてソフトウエァ、エレクトロニクス、レーダー等民間企業の技術が進歩した。特にシリコンバレーには加速器技術を産業化した例として、粒子線を利用したガン治療装置を開発販売するVarian Medical Systemsの本社がある。また、日本おける加速器技術の産業化については(株)東芝京浜事業所が発展させた超伝導技術や東京電解(株)の超伝導空洞用ニオビウムがあり、これはILCでの活用が期待される。

・ILC実験終了後の施設活用について

SLACでは高エネルギー実験として使用してきた直線加速器を、物質構造科学(ナノテクノロジーやバイオテクノロジー等)のための放射光加速器に転用を進めている(LCLS-IIプロジェクト)。SLACでは直線加速器を高エネルギー物理学用で40年、物質構造科学用で40年と合わせて80年使える施設を目指している。現在SLACは物質構造科学の研究者が所長に就任し、第二のフェイズに入っている。将来の放射光施設はSpring-8(兵庫県にある円形加速器)のような円形よりもエネルギーロスの少ない線形に取って代わる予定であるが、まだ開発段階である。
ILCについても高エネルギー実験が終了した後は、物質構造科学用の施設へ転用の可能性は十分にある。

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【テーブルの日本茶はKEKの鈴木さんが特別に用意してくれたもの】


SLACは初期の目的が達成された後も、連邦政府のエネルギー省が施設を有効活用するために研究目的を時のニーズと国家戦略に合わせながら多様に変化させていることを実感できました。CERNでは民間への活用を目的から除外しているために純粋な研究サイトとなっており、加速器を巨大化して高エネルギーにしていく方向にありますが、SLACは規模は小さいながらも柔軟に対応していることが見て取れます。

ILCによる地域の研究都市形成の進む方向はSLACの方が手本になるのではないかと感じました。それはシリコンバレーがいまだに世界に名だたるリーディング産業群になっているのが証拠です。

今回の視察は短い時間でしたが、ILC実現と地域の環境整備に何が必要か再認識した視察となりました。
posted by 飯沢ただし at 00:30| 岩手 ☔| Comment(0) | ILC 【東北から世界に発信!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする