2013年10月09日

社会保障か自由主義か 揺れるアメリカ

米国の政府機関が与野党の対立によって一部閉鎖する事態となりました。対立における最大の争点となっているのが、医療保険制度改革です。これはオバマ大統領肝いりの改革であることからオバマケアとよばれていますが、オバマケアとはどのようなもので、これに反対している人はどのような人たちなのでしょうか? そしてなぜこの制度に反対しているのでしょうか?

 日本には、皆保険制度(全員が医療保険に加入する制度)があり、基本的に治療費の7割を国が負担してくれます。しかし米国にはそのような制度は存在していませんでした。高齢者と低所得者層向けにはそれぞれ「メディケア」「メディケイド」と呼ばれる公的保険がありますが、それ以外の人は民間の保険会社が提供する医療保険に自費で入らなければなりません。

 企業の中には福利厚生の一環として保険料を負担するところもありますが、すべての企業がそうではありません。低所得者層ほど貧しくはないものの、年収があまり高くない人の中には、自費で保険料を支払うことができず、保険に加入していないという人がいます。全米では約5000万人(6人に1人)が保険未加入と言われています。オバマケアはこうした人の多くを保険に加入させるための制度改革です。

確かに日本の保険制度を見ても分かるように、国がほとんどの治療費を出してくれるとなると、病院はとにかく薬を出したり、不必要な検査までするようになり、医療費はみるみる膨れ上がります。しかしお金がなくても病院にかかれることは大きなメリットであり、米国民も多くがオバマケアを支持しています。

ただこの制度に対しては一部ではありますが根強い反対意見があります。特に共和党保守派の人たちは、保険加入の義務化は、財政を圧迫するだけでなく、国民の選択肢を奪うものだとして強く反発しているのです。

オバマケアはちょうど2013年10月1日からスタートしたのですが、今後は基本的に全国民が保険加入を義務づけられます。収入が少ない人には補助金が支給され、企業に対しても補助が出る仕組みが整えられました。これによってあらたに3000万一方で開拓精神を重視する一部の国民は、政府が何かを国民に押し付けることをとても嫌います。彼等は国民は自助努力で生きるべきだという強い信念を持っており、こうしたカルチャーが米国の活発なビジネスを支えている面は否定できません。彼等の声を背景に共和党の保守派は強硬なスタンスを貫いているわけです。

 一部の反対意見に引きずられ共和党は何に対しても反対しているという見方もできますが、必ずしもそうとは言い切れない部分があります。オバマケアには賛成していても、こうした保守的な考えそのものに対して共感を示す米国人はかなり多く、このことが保守派政治家の発言力を無視できない要因にもなっているのです。

 彼等は利益のためではなく信念としてこれを主張しているので、なかなか説得に応じようとしません。政府機関の閉鎖という事態になるまで対立が激化している背景には、このような事情が存在しているのです。


The Page より抜粋引用

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アメリカの共和党は自由主義をモットーとしており、この自由主義があるからこそアメリカの存在があると確信している。自由と自己責任は共存するということも織り込んでいる。かなりの公的サービスに慣れっこになっている日本人には理解が進まない考え方かもしれない。自由主義は資本主義社会を形成する基礎的思想である。

日本では公務員を一時帰休するなどということは、ほとんど現実に起きそうもないが、いとも簡単に起きてしまうのもアメリカならではだろう。

オバマケアと自由主義の対立は単なる対立に済まず、17日までに対立を回避しないと債務上限引き上げ法案が成立が困難になり、債務不履行になる可能性になってしまう。国民もそこまでの対立を望んではいないだろうから何らかの妥協が図られると思うが、どのような過程を経て妥協に至るのか私はそこに注目したい。

それにしても、社会が成熟化していく中で所得格差が顕著になり、自由主義の旗印であるアメリカまでも社会保障の是非を問われることは、時代の象徴的な事象であり、今後の民主主義の在り様にも影響を与えそうだ。
posted by 飯沢ただし at 23:54| 岩手 ☔| Comment(0) | My Diary  【ふつうの日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする